カラオケで無縁社会を乗り越えろ!

サンデー毎日」2016年12月18日号が発売されました。
表紙の人物は黒塗りで、正体はジャニーズ事務所に所属している俳優の生田斗真クンです。それにしても、戦時中の教科書じゃあるまいし、今どき、黒塗りなんてねぇ・・・・・・。
さて、わたしは同誌にコラム「一条真也の人生の四季」を連載しています。
第59回目のタイトルは、「カラオケで無縁社会を乗り越えろ!」です。
東京の止まり木」こと赤坂見附のカラオケスナック「DAN」を紹介しました。


サンデー毎日」12月18日号



今年一番驚いたのは、大手のカラオケボックス・チェーンが大量閉店したニュースでした。カラオケ市場そのものは微増といいますが、高齢者が中心で若者はカラオケ離れだとか。さらには若者のアルコール離れは顕著で、居酒屋業界も深刻だといいます。わたしの周囲にいるのは、酒とカラオケが好きでたまらないという連中ばかりなので、意表をつかれました。



結局は社会が「人間嫌い」化しているということでしょうが、酒も飲まず、カラオケも歌わずにスマホでゲームばかりして、何が楽しいのでしょうか?
わたしには、東京出張の際に必ず寄る止まり木があります。常宿のある赤坂見附の駅のすぐ近くの「カラオケスナックDAN」という店です。



場所は都心の超一等地ですが、ひとたび扉を開けると、いきなり昭和のスナックが登場します。各地の温泉街でよく見るスナックそのものです。なんと、天井にはミラーボールまであります。DANは異次元空間なのです。この異次元空間は、わたしの疲れた心を癒してくれます。宝石商を営む、どこか謎めいた上品なママと、「氷雨」を歌っていた佳山明生によく似たマスターがいい感じです。



DANのお客さんはとにかく歌が上手で、音痴の人に会ったことがありません。レコード会社、ラジオ、テレビ、広告業界の関係者も多いようです。カラオケの順位と偏差値が出る機械を設置しているのですが、数千人中で1位というようなツワモノが続出します。ちなみに、わたしも1位を連発するほうで、特に北島三郎の「まつり」と矢沢永吉の「アイ・ラブ・ユー、OK」は無敵で、偏差値99を叩き出します。



DANでは、隣り合ったお客さん同士が仲良く話しはじめます。誰かがカラオケを歌うと、全員で合唱します。誰かがカラオケで1位を取ると、全員にビールを奢ったりします。そう、「袖すり合うも多生の縁」という善き心が生きているのです。昔、「歌声喫茶」というものがあったそうですが、DANはまるで「歌声スナック」です。
ということで、カラオケで無縁社会を乗り越えろ!


サンデー毎日」12月18日号の表紙



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2016年12月6日 佐久間庸和