『アンデルセン童話集』

本日は「勤労感謝の日」ですね。
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さて、「朝日新聞」朝刊に第11回目の「こころの世界遺産」が掲載されました。
今回は、世界中の子どもたちから愛されている『アンデルセン童話集』を紹介しました。


朝日新聞」11月23日朝刊



デンマーク生まれのハンス・クリスチャン・アンデルセンこそは、世界で最も有名な作家ではないでしょうか。彼ほど、さまざまな国の子どもから大人まで広く知られている書き手は存在しません。ゲーテシェイクスピアスタンダールドストエフスキー夏目漱石といった世界の文豪たちよりもアンデルセンの名は広く知られ、その作品は多くの人々に読み継がれています。



みにくいアヒルの子」や「裸の王様」といった彼の作品の名を聞けば、誰でもそこに込められているメッセージを即座に理解することができます。これは本当に凄いことです。
そして、アンデルセンは「裸の王様」ならぬ「童話の王様」と呼ばれました。彼は童話という小さな枠の中にあらゆる舞台を取り入れ、人間の本性を見極ようとしたのです。



ドイツ語の「メルヘン」の語源には「小さな海」という意味があるそうです。大海原から取り出された一滴でありながら、それ自体が小さな海を内包しているのです。
アンデルセンは、「涙は人間がつくるいちばん小さな海」という言葉を残しています。涙は人間が流すものです。どんなときに人間は涙を流すのか。それは、悲しいとき、寂しいとき、つらいときです。それだけではありません。他人の不幸に共感して同情したとき、感動したとき、そして心の底から幸せを感じたときではないでしょうか。



つまり、人間の心はその働きによって、普遍の「小さな海」といえる涙を生み出すことができるのです。特に、アンデルセンの「人魚姫」という水の物語、「マッチ売りの少女」という火の物語には、宗教や国家や民族を超えた人類普遍の「道」が示されているように思います。
アンデルセンは、児童文学に初めて「死」を持ち込みました。
アンデルセンの童話を読めば、死を乗り越えられます。



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2016年11月23日 佐久間庸和