『ネクスト・ソサエティ』

連載１００回達成記念に、過去の「ハートフル・ブックス」をご紹介しています。
第２０回目は、「サンデー新聞」２００９年１０月１７日号に掲載されました。
『ネクスト・ソサエティ』P・F・ドラッカー著／上田惇生訳（ダイヤモンド社）を紹介しました。

「サンデー新聞」２００９年１０月１７日号

ピーター・ドラッカーをご存知でしょうか。世界最高の経営学者にして社会生態学者であり、２０世紀の「知の巨人」です。「人が主役」「会社は社会のもの」など名言を残しました。いま、「百年に一度の波」などと言われていますが、今年（２００９年）はちょうどドラッカー生誕百周年にあたります。

本書は、ドラッカーの遺作にして最高傑作です。
ついに政権交代が実現した日本（当時）がこれからどうなってゆくかも本書に明確に述べられています。ドラッカーは本書の冒頭で、「日本では誰もが経済の話をする。だが、日本にとっての最大の問題は社会のほうである」と呼びかけています。

ドラッカーいわく、９０年代の半ばから急激に変化しつつあるのは、経済ではなく社会のほうであることに気づいたといいます。ＩＴ革命はその要因の一つにすぎず、人口構造の変化、特に出生率の低下とそれにともなう若年人口の減少が大きな要因でした。ＩＴ革命は、１世紀を越えて続いてきた流れの一つの頂点にすぎませんでしたが、若年人口の減少は、それまでの長い流れの逆転であり、前例のないものだったのです。

いよいよ、次なる社会、ネクスト・ソサエティが到来します。そして、その２つの特質とは、「少子高齢化社会」と「知識社会」です。大きな流れに乗った戦略をもってしても成功が保証されるわけではありません。しかし、それなくして成功はありえないとドラッカーは説きます。わたしは、２００１年に社長に就任しましたが、本書と出合って大変なショックを受けました。そこで本書に基づいて自社の経営戦略を定め、『ハートフル・ソサエティ』（三五館）なるアンサーブックまで上梓しました。次なる社会は「こころの社会」だと、自分なりに確信したからです。

２００９年９月、『最短で一流のビジネスマンになる！　ドラッカー思考』（フォレスト出版）を上梓したところ、発売直後から大変好評で、アマゾンの総合ベストテン入りも果たしました。
やはり、ドラッカーの考えは面白くて、しかも役に立つのだと再認識しました。
ぜひ、ご一読をおススメいたします。

ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる

さて、ブログ「ハートフル・ブックス展示販売会が終了しました」でも紹介したように、９月１日より９月３０日まで、西日本最大級の書店であるブックセンタークエスト小倉本店で「ハートフル・ブックス」連載１００回記念の書籍展示販売会が開催されました。
９月３０日に無事に終了しましたが、今里文彦店長からは「大変好評で、本もたくさん売れました。ありがとうございました！」との嬉しいお言葉を頂戴しました。良かった！
多くの方々が、この展示販売会で「こころの１冊」を見つけられたようです。
お世話になった毎日メディアサービスさん、ブックセンタークエスト小倉本店さんには深く感謝いたします。これからも、わたしは「サンデー新聞」の「ハートフル・ブックス」で多くの良書を紹介していきたいです。

＊よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。

２０１６年１０月２日　佐久間庸和拝