企画広報担当者会議

9日の午後から、サンレーグループの全国企画・広報担当者会議が行われました。これまで、営業責任者、MS責任者、冠婚責任者、衣装担当者、葬祭責任者、経理責任者の会議はずっと開催してきましたが、企画広報担当者の会議は昨年初めて行いました。理由は、創立50周年を控えて、企画部門および広報部門の役割が特に大きくなっているからです。


訓話の前に一同礼!

みなさん、お元気ですか?



16時半から、わたしが60分ほどの社長訓話をしました。
最初にわたしは、「サンレーは情報発信型の会社である」と述べました。
そして、そのバックグラウンドには「天下布礼」という思想があります。
天下布礼」とは、サンレーの創業時に佐久間進会長が掲げていたスローガンです。
2008年、わたしが上海において再び社員の前で打ち出しました。
中国は孔子が生まれた国です。2500年前に孔子が説いた「礼」の精神こそ、「人間尊重」そのものだと思います。上海での創立40周年記念パーティーで、わたしは社員の前で「天下布礼」の旗を掲げました。かつて織田信長は、武力によって天下を制圧するという「天下布武」の旗を掲げました。しかし、わたしたちは「天下布礼」です。武力で天下を制圧するのではなく、「人間尊重」の思想で世の中を良くしたいのです。


社長訓話のようす



わが社の小ミッションは「冠婚葬祭を通じて良い人間関係づくりのお手伝いをする」。
冠婚葬祭ほど、人間関係を良くするものはありません。そして、わたしたちの理想はさらに大ミッションである「人間尊重」へと向かいます。太陽の光が万物に降り注ぐごとく、この世のすべての人々を尊重すること、それが「礼」の究極の精神です。だから、わたしは「礼」の精神が誕生した中国の地で「天下布礼」という言葉を持ち出したのです。


天下布礼」について語りました

「こども冠婚葬祭教室」について語りました



天下、つまり社会に広く人間尊重思想を広めることがサンレーの使命です。わたしたちは、この世で最も大切な仕事をさせていただいていると思っています。これからも冠婚葬祭を通じて、良い人間関係づくりのお手伝いをしていきたいものです。
また、わたしが大学で教壇に立つのも、講演活動を行うのも、本を書くのも、さらには庸軒として道歌を詠むのも、すべては「天下布礼」の一環であると考えています。
これから予定している「子ども冠婚葬祭教室」のプランについても語りました。


ホスピタリティ・カンパニー

ホスピタリティ・カンパニー


『ミッショナリー・カンパニー』について告知する



それから「ミッショナリー・カンパニー」について告知しました。
10月に刊行を予定しているわたしの著書のタイトルが、まさに『ミッショナリー・カンパニー』です。40周年記念出版の『ハートフル・カンパニー』、45周年記念出版の『ホスピタリティ・カンパニー』に続く、サンレー創立50周年記念出版です。「ミッション」とは「使命」のことですので、「ミッショナリ―・カンパニー」とは「使命のある会社」という意味になりますね。
「ミッショナリー・カンパニー」というのは1つのコンセプトであり、企業像ですが、それが生れた背景には「エクセレント・カンパニー」および「ビジョナリー・カンパニー」という2つのコンセプト・企業像がありました。ともに世界的ベストセラーとなったビジネス書のタイトルです。


エクセレント・カンパニー―超優良企業の条件

エクセレント・カンパニー―超優良企業の条件


『エクセレント・カンパニー』について



まず『エクセレント・カンパニー』は、トム・ピーターズとロバート・ウォーターマンによって書かれ、大前研一によって邦訳されました。日本では、1983年に講談社から刊行されています。出版当時、マッキンゼーコンサルタントだった彼らが、「超優良企業」と見なしたいくつかの企業(IBM、GE、ウォルマートなど)の共通項を抽出したところ、次のようになりました。
1.行動の重視  
2.顧客に密着する  
3.自主性と企業家精神 
4.ひとを通じての生産性向上
5.価値観に基づく実践  
6.基軸事業から離れない 
7.単純な組織・小さな本社 
8.厳しさと緩やかさの両面を持つ


ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則


『ビジョナリー・カンパニー』について



また『ビジョナリー・カンパニー』は、マッキンゼー出身のジェームズ・C・コリンズと、GE出身のスタンフォード大学教授ジェリー・I・ポラスによって書かれました。ビジョナリーとは「先見性」や「未来志向」を意味します。1994年に出版され、5年連続全米でベストセラーとなりました。当時、100万人以上のアメリカのビジネスマンを夢中にさせた本です。
3M、アメリカン・エキスプレス、ボーイング、GE、IBM、ジョンソン・エンド・ジョンソン、マリオット、メルク、P&G、ソニーウォルト・ディズニーなど、「最高のなかの最高」の優良企業が、なぜ時代の変遷を乗り越えて、ライバル企業よりも優れた業績を上げてきたのかを明らかにします。


『ビジョナリー・カンパニー』について



『ビジョナリー・カンパニー』の著者たちは、アメリカの主要企業のCEOから採ったアンケートによって選び出された18社の歴史に対する6年間の調査を行った結果、「ビジョナリー・カンパニー」の定義を以下のように示しました。
●業界で卓越した企業である
●見識のある経営者や企業幹部の間で、広く尊敬されている
●私たちが暮らす社会に、消えることのない足跡を残している
最高経営責任者(CEO)が世代交代している
●当初の主力商品のライフサイクルを超えて繁栄している
●1950年以前に設立されている



現在では『エクセレント・カンパニー』や『ビジョナリー・カンパニー』で取り上げられた企業の中にも失速したり、経営不振にあえぐ会社も目立つようになってきました。つくづく、企業が繫栄し続けることの難しさを痛感します。
そして、わたしは「エクセレント・カンパニー」や「ビジョナリー・カンパニー」を超える理想の企業は「ミッショナリー・カンパニー」であると思い至りました。



ミッション・マネジメントという言葉があります。「ミッション」という言葉は、もともとキリスト教の布教を任務として外国に派遣される人々を意味する言葉でしたが、現在はより一般的に、何らかの任務を担って派遣される使節団やそうした任務のもの、あるいは「社会的使命」を意味するようになってきています。ミッション経営とは、社会について考えながら仕事をすることであると同時に、顧客のための仕事を通して社会に貢献することです。すなわち、顧客の背後には社会があるという意識を持つ経営です。


ミッションが企業価値を高める時代!



ミッションが企業価値を高める時代になってきました。
目の前の利益だけを追い求める企業よりも、社会的使命としてのミッションの意識を明確に持って活動する企業が顧客と社会によって高く評価され、発展していくことになります。その意味で、ミッションとは企業の命そのものと言えるでしょう。
特に、冠婚葬祭互助会のような公益性の高い事業には、何よりもミッションが求められます。


サンレー創立35周年記念式典のようす



ドラッカーは「仕事に価値を与えよ」と述べています。
これはとりもなおさず、その仕事の持つミッションに気づくということにほかなりません。わが社は冠婚葬祭業を営む企業ですが、わたしは、この仕事くらい価値のある仕事はないと心の底から思っています。2001年10月の社長就任以来、「冠婚葬祭業とは哲学産業であり、芸術産業であり、宗教産業である」とずっと社員に訴えてきました。また、「結婚は最高の平和である」と「死は最大の平等である」を2大テーゼに、結婚式や葬儀の1件1件が実は人類の「平和」「平等」の実現につながっているのだと説いてきました。


サンレーグループの「S2M宣言」



ミッションを明確に成文化して述べることを「ミッション・ステートメント」といいます。
わが社では、2001年11月18日の16回目の創立記念日より、「S2M宣言」を導入し、大ミッションを「人間尊重」、小ミッションを「冠婚葬祭を通じて、良い人間関係づくりのお手伝いをする」と定めた。具体的なステートメントとして、まず、「サンレー・トゥー・メンバーズ〜会員様のお役に立つサンレー」「システム・トゥー・マネー〜財務力を強化するシステムの確立」「スピード・トゥー・マーケット〜市場への迅速な対応」「サービス・トゥー・マインド〜お客様の心に響くサービス」の4つを発表しました。 


全員で「S2M宣言」を唱和



翌年には、「スキル・トゥー・メジャー〜一流になるための技術の向上」「ストレート・トゥー・ミッション〜社会的使命の追求」、さらにその翌年には、「スマイル・トゥー・マンカインド〜すべての人に笑顔を」「サポート・トゥー・モラル〜倫理道徳の支援」を発表して、合計8つになりました。最初から8つすべてがわたしの頭の中にはあったのですが、一度に発表すると社員が混乱すると判断し、毎年2つづつ増えていくという、世にも珍しい「増殖する経営理念」となりました。現在、全国の各拠点で朝礼の際に唱和し、当社のミッションを確認しています。この「S2M」こそ、わが社の命そのものと言えるでしょう。


最後はもちろん一同礼!



天下布礼」とは「礼」の思想を天下に広めることですが、人類史上で最も「礼」の重要性を説いたのは孔子です。その孔子の言行録である『論語』には、「五十にして天命を知る」とあります。50周年を迎えるわが社は、「天命を知る会社」としてのミッショナリー・カンパニーを目指したいと思います。今日はそんな話をしましたが、参加者はみな、こちらが怖くなるぐらい真剣な表情で聴いていました。


懇親会でカンパイ!



社長訓話後は、サンレー本社から松柏園ホテルに移動して、懇親会が開催されました。
懇親会の冒頭、わたしが挨拶しました。わたしは「どうか、みなさんの力を結集して50周年を盛り上げていただきたい」と述べ、続いて「わが業界の事業には日本人を幸福にする力があります。そして、わが社の情報発信には、業界を大きく変える力があります」と述べました。それから、サンレー企画部の石田部長の音頭で声高らかに乾杯しました。



この日は全国の事業部から企画・広報の担当者が集まり、普段では見られないような異色の顔合わせとなりました。みんな自己紹介をしたり、再会をなつがしがったりしながら、大いに飲んでいました。最後は、松柏園ホテルの総支配人である山下部長によるサンレー・オリジナルの「末広がりの五本締め」で中締めとなりました。



懇親会の後は、松柏園のラウンジで二次会も開かれました。
ブログ『稲盛流コンパ』で紹介したように、「平成の経営の神様」と呼ばれる稲盛和夫氏は組織の団結を実現するコンパを推奨しています。経営トップも管理職も若手社員もすべて胸襟を開いて飲んで語り合うコンパには、人間関係を良くして、業績を向上させる力があります。
まさに、理念とコンパは経営の両輪ですね。
じつは、わが社には50年来のコンパの伝統があります。
そして、今夜のサンレー流コンパも大いに盛り上がりました。
やはり、理念と使命と志をともにする「同志」とのコンパは最高です!



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2016年8月10日 佐久間庸和