『新約聖書』

東京に来ています。20日の朝、震度4の地震がありました。今夜は上智大学で「葬儀」と「グリーフケア」の連続講義を行います。上智大学といえば、日本におけるカトリックの総本山として知られます。「朝日新聞」朝刊に第7回目の「こころの世界遺産」が掲載されました。今回は、世界中のキリスト教徒が心の糧にしている『新約聖書』を紹介。


朝日新聞」7月20日朝刊



キリスト教は、約20億人の信者を擁する世界最大の宗教です。
1〜2世紀に書かれたとされるキリスト教聖典が『新約聖書』です。
よく『新訳聖書』と間違える人がいますが、「新訳」ではなく「新約」です。旧約に対しての、神との新しい契約という意味なのです。



新約聖書』は、「福音書」「手紙」「使徒行伝」「黙示録」の四部構成となっています。
イエス・キリストの言行録である「福音書」は、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの順序で記されています。福音とは使徒たちが広めたギリシャ語の「よい知らせ」を意味します。
それから、使徒たちの書簡である「手紙」、初期教会の指導者たちの歴史について書かれた「使徒行伝」、そして世界の終末を描く「黙示録」が記されています。



「マタイの福音書」では、有名なイエスの「山上の垂訓」を描きます。イエスが山上で弟子たちと群集に語った教えだが、「こころの貧しい人たち」や「悲しんでいる人たち」など、8回繰り返し、最後は「幸福なるかな」と述べます。
他にも、キリスト教の祈祷文である主の祈り、「地の塩、世の光」、「右の頬を打たれれば、左も向けなさい」、「汝の敵を愛せよ」、「裁くな、裁かれないためである」などの中心的教義も述べられています。



エスの黄金律として知られる「何でも人にしてもらいたいと思うことは、その人にしなさい」、「敲けよ、さらば開かれん」、「狭き門より入れ」、さらには「豚に真珠」、「砂上の楼閣」などの言い回しはこの「山上の垂訓」に登場します。イエスの「福音」の説き方に群衆はいたく驚きまし。律法者などよりもずっと権威ある者のように教えられたからです。現代にまで続くイエスのカリスマは神の聖霊に拠るからでしょうか。



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2016年7月20日 佐久間庸和