永六輔さんの思い出

19日、東京に入ります。19日の午後から互助会保証の監査役会、翌20日は冠婚葬祭文化振興財団の評議員会、全互協の中長期ビジョン・新セーフティネット研究会報告書説明会および理事会、さらには夜には上智大学で「儀式」と「グリーフケア」の連続講義を行います。
さて、「サンデー毎日」2016年7月24日号が出ました。
わたしは、同誌にコラム「一条真也の人生の四季」を連載しています。
第40回目のタイトルは「永六輔さんの思い出」です。


サンデー毎日」7月31日号



永六輔さんが亡くなられました。永さんといえば、放送作家として有名ですが、作詞家としても売れっ子でした。数多くのヒット曲の中でも、「上を向いて歩こう」は日本の歌謡史上最高の名曲であると確信します。「SUKIYAKI」とタイトルを変え、アメリカのビルボードで1位の栄冠に輝き、翌年のゴールドディスクも受賞しました。



英語以外の言語で歌われた曲としては史上初でした。1963年のことですから、わたしが生まれた年の出来事です。この快挙が、いかに日本人に勇気と希望を与えたことか!
戦後の日本人に希望を与え、阪神・淡路大震災のときも東日本大震災のときも被災者の人々に勇気を与えた希代の名曲は、永六輔、中村八大、坂本九という3人の才能の合体によって生まれました。いわゆる「689トリオ」です。ついにトリオは3人とも他界されました。あの世で再会を喜び合っているかもしれません。



永さんといえば、忘れられないのが大ベストセラーの著書『大往生』(岩波新書)です。94年3月に書かれたこの本は、軽やかな言葉で「死」を語り、その年最大のベストセラーとなりました。日本人の死生観にも大きな影響を与えました。
同年9月4日、永さんをわが社のイベントの講師にお招きしました。タイトルは「ここは地球の真ん中です」でしたが、『大往生』の発売からちょうど半年後の講演ということで、会場の小倉紫雲閣の大ホールは超満員になりました。



永さんは葬儀にも言及され、記憶に残る素晴らしい葬儀とは、「特定の形式・宗教にとらわれることなく、当人(故人)が生前から親しんできたもの(音楽・文化)を取り入れ、周りの人々も故人を偲ぶに足りる内容ではないか」と述べられました。
講演後、サンレー本社の貴賓室でご本人とお会いしました。少しの時間でしたが、「死」と「葬」について意見交換をさせていただきました。とても優しい目をされた方でした。心よりご冥福をお祈りしたいと思います。


サンデー毎日」7月31日号



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2016年7月19日 佐久間庸和