地域に根ざした互助会

今日の九州は猛烈に暑いです。明日から東京に入ります。ブログ「『CORI』取材」で紹介したように、わたしは4月15日、ブログ「『CORI』創刊」で紹介した冠婚葬祭総合研究所が発行する季刊誌の取材を受けました。本日、掲載誌が送られてきました。


「CORI」vol.2(2016 SUMMER)の表紙



冠婚葬祭の未来を見つめる「CORI」第2号の表紙には、サンレーが全面サポートさせていただている「隣人祭り 秋の観月会」のイラストが使われています。「いわれ 儀礼文化の源流をさぐる―結納―」、「特集 アジアの冠婚葬祭事情」、「講演会サマリー 牛窪恵 有限会社インフィニティ代表取締役」、「Opinion 石井研士」、「CORI Report 葬祭短歌分析と将来予測」、「ランキングで見る冠婚葬祭の今 アジアの平均初婚年齢男女別上位5位」、「冠婚葬祭総合研究所の活動報告」といった興味深い記事が並んでいますが、その中に「地域に根ざす互助会」として、株式会社サンレーが取り上げられています。


「CORI」vol.2(2016 SUMMER)より



記事は、「『隣人祭り』で新しい人の縁をつくりだす」の見出しで、まず「地元で起きた孤独死に強いショックを受ける」の小見出しで以下のように書かれています。
「『私たちの営業エリアで、もうこんなことが繰り返されてはいけない。』福岡県北九州市に本社を置く株式会社サンレー代表取締役社長の佐久間庸和氏が、そう深く心に誓った事件がある。北九州市では2005年から07年にかけて、経済的な困窮によって孤独死に至る人の例が相次いだ。『おにぎり食べたい』。中にはそう書き残して亡くなった方もいたという。
佐久間氏は日頃から、『冠婚葬祭互助会のインフラは、立派な施設ではなく、人の縁である』と考えている。結婚式のときに新郎新婦の門出をみんなで祝福するのも、葬儀で故人とゆかりのあった人たちが数多く参列して、その死を悼むのも、人と人との結びつきがあればこその冠婚葬祭なのだ。北九州市内で相次いだ孤独死は、その人の縁が、自分たちの足元で崩れつつあることを実感させられるショッキングな出来事だったという。
『最近は入籍しても結婚式を挙げないカップルが増えています。また葬儀の参列者も減り、家族葬直葬といった従来想定しえなかった薄葬が増えています。これも人と人との結びつきが、希薄になってきているからでしょう。互助会はこれまで、人の縁をよりどころにして、成長を遂げていくことができました。もしそのつながりが脆弱になってきているのなら、再生をするためのお手伝いこそ、私たちがすべき仕事ではないかと考えたのです』」



また、「フランスから世界に広がった『隣人祭り』の開催を決意」の小見出しで、以下のように書かれています。
「佐久間氏が、フランスで生まれ、世界各地に広がっていった『隣人祭り』の存在を知ったのは、そんな折だったという。『隣人祭り』は1999年にパリのアパートの一室で、死後1カ月を経過したひとり暮らしの夫婦人のご遺体が見つかったことが発端となる。誰にも看取られることなくひとり寂しく亡くなっていたという事実に、同じアパートで隣の部屋に住んでいたある青年が強い衝撃を受け、アパートのほかの住民たちに呼びかけ、みんなが顔見知りになっておくために、食べ物を持ち寄って隣人同士が交流するパーティ、『隣人祭り』をアパートの中庭で開催することにしたのだ。やがてこの新しい取り組みは、フランスからヨーロッパ、さらには世界各地へと次々に広がり、日本でも2008年5月、東京の新宿御苑で初めて隣人祭りが開催され、200人以上が集まった。
佐久間氏はそのニュースに触れたとき、『隣人祭りのような取り組みこそ、私たちの地域でやるべきことだ』と思ったという。『隣人同士につながりができ、お互いに気にかけ合うような関係になれれば、孤独死を防ぐことができるでしょう。そして亡くなったときも、つながりがある人たちが葬儀にかけつけてくれ、ひとり寂しく茶毘に付けさせるようなことはなくなります』」


「CORI」vol.2(2016 SUMMER)より



さらに、「会社のスタッフが人の縁のつなぎ役になる」として以下のように書かれています。
「日本初の隣人祭りの開催から5カ月後の08年10月、サンレーでは、同社グループのNPO法人ハートウェル21が主催する形で、第1回の隣人祭り北九州市にあるサンレーグランドホテルで開催した。以降は、小規模なものとしては10人程度、大規模なものでは800人以上が参加する隣人祭りを数多く開くようになり、15年の年間開催数は768回に達した。
『ヨーロッパの隣人祭りは、住民同士でパンやワイン、チーズを持ち寄って、みんなで語り合うというものですが、日本でこれを定着させるには、アレンジが必要になると考えました』日本には節分や花見、七夕や月見といった季節ごとの行事がある。そこで、春は花見会、秋は観月会といったように、年間行事と結びつけて隣人祭りを開くようにした。また元気な高齢者を増やすことを目的にした「ともいき倶楽部」という、互助会とは別の組織を設立し、医師を招いた健康講座やお笑い芸人による笑いの会などを開いている。さらに保育園や幼稚園と連携して、子どもたちに歌や踊りなどの練習の成果を披露してもらうといった会も開いている。
このように、多くの人に興味を持って参加してもらえるよう、さまざまな工夫を行っているが、佐久間氏は『大切なのは、単に隣人祭りの参加者を増やすことではなく、そこで新しい人の縁をつくっていただくことです』という。その際に重要な役割を果たしていくのが同社の営業を担う外務員だ。外務員は、地域のどこにどんな方が住んでいるのかという情報を詳しく把握している。そこで自宅を訪ね、『今度近くで隣人祭りというイベントを開くのですが、いらっしゃいませんか』と誘う。そして、『この方は○○さんです。近所に住まれているので、同じスーパーに行かれているのではありませんか』といった紹介で、当日参加された方同士の会話が始まるきっかけを、外務員が提供しているという」



「『人は1回でも会って言葉を交わすと、2回目以降はあいさつをするようになります。それが近隣から孤立する人が出ることを防ぐ有効な手立てになるはずです。例えば、早くに旦那さまを亡くされて、ひとり暮らしが長いおばあさまや、似た境遇にある方同士を、近くの席に案内するようにしています。同じような人生を歩んでこられた方同士のほうが、お互いに打ち解けやすいですから。また、隣人祭りをきっかけに会員になってくださる方も多いのです』
さらに佐久間氏は、人と人とのつながりの強化だけではなく、人々の日常生活を支援するための活動も展開しようとしている。北九州市は、全国の政令指定都市の中で最も高齢化率が高い都市である。高齢者の中には、日々の買い物やゴミ出しにも難渋している人が少なくない。そこで同社では、自治会などと協力して、買い物支援やゴミ出し支援も始めようとしている。将来的には、独居老人の孤独死を防ぐために、見回り活動も行いたいと考えているという。
『こうした活動によって、互助会の存在基盤である地域コミュニティが維持再生されるとともに、私たちもまた地域になくてはならない存在として認知されるようになります。地域との縁、人との縁をつなぐ取り組みを、今後も続けていくつもりです』」



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2016年7月4日 佐久間庸和