九州は今日も大雨です。本当によく降ります。
かのノアの大洪水を連想してしまいますね。
「朝日新聞」朝刊に第6回目の「こころの世界遺産」が掲載されました。22日(水)の朝刊に掲載される予定でしたが、紙面の都合で1週間延びました。今回は、世界で最も読まれている書物の1つである『旧約聖書』を紹介しました。
「朝日新聞」6月29日朝刊
『旧約聖書』は、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教という世界三大「一神教」に共通の聖典です。いつか、三教による共同訳が実現すれば、世界平和につながるはずだとおもいます。キリスト教やイスラム教を生んだユダヤ教は、いわゆる『旧約聖書』を「トーラー(律法)」「ネイビーム(預言者)」「ケトゥビーム(諸書)」の3つの基本的な部分に分類しているます。略してそれを「TNK(タナハ)」といいます。
すなわち本来の意味でのトーラーである「モーセ五書」と「預言者」、そして他の文書とである。この3つが集まって、いわゆる『旧約聖書』となるわけです。
「モーセ五書」には、ハリウッド映画の「天地創造」や「十戒」のスペクタル・シーンで有名な「アダムとイヴ」「カインとアベル」「ノアの方舟」「バベルの塔」「エジプト脱出」「モーセの十戒」をはじめとしてスリリングな場面が次から次に展開します。文学作品でもあるのです。
わたしは、『旧約聖書』の本質は、図書館のごとき文書の集大成だと考えています。それぞれに含まれる書物の成立年代も、紀元前10世紀から紀元前2世紀にわたっており、口伝の詩歌などは紀元前12世紀頃にまでさかのぼります。
これを日本に当てはめてみると、8世紀の『古事記』『日本書紀』から、10世紀の『古今和歌集』、11世紀の『源氏物語』、13世紀の『平家物語』、14世紀の『徒然草』を経て、17世紀から18世紀の井原西鶴や近松門左衛門の文学的作品、さらには19世紀の『蘭学事始』や『金色夜叉』までが含まれてしまうことになるのです。もしそれが刊行されたとしたら、日本歴史・文学大全集とでも呼ぶべきものになるでしょう。『旧約聖書』とは、このように途方もなく巨大なスケールを持った書物なのです。
*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。
2016年6月29日 佐久間庸和拝