卒業式は笑顔で「さよなら」を

サンデー毎日」2016年4月3日号が出ました。
わたしは、同誌にコラム「一条真也の人生の四季」を連載しています。連載開始からちょうど半年になる第24回目のタイトルは「卒業式は笑顔で『さよなら』を」です。


サンデー毎日」4月3日号



3月は卒業式のシーズンです。つねづね思うのですが、すべての通過儀礼の本質とは卒業式ではないでしょうか。七五三は乳児や幼児からの卒業式であり、成人式は子どもからの卒業式。通過儀礼の「通過」とは「卒業」のことなのです。



結婚式も同様です。結婚披露宴で一番感動を呼び、参列者の間に共感を生むもの、それは花嫁による両親への感謝の手紙です。そこには、今まで育ててくれた両親への感謝の言葉とともに、家族から巣立ってゆくことの寂しさ、そして夫となる人とともに新しい家族を築いていくことへの希望と決意が述べられています。



なぜ、昔から花嫁の父親は結婚式で涙を流すのか。それは、結婚式の本質が卒業式であり、家庭という学校から卒業してゆく娘を校長として愛しく思うからにほかなりません。そして、葬儀は人生の卒業式です。このことを、わたしは多くの著書で繰り返し強調してきました。



日本人は人が亡くなると「不幸があった」などと言いますが、この世に死なない人間はいません。必ず訪れる「死」が不幸であるなら、どんなに素晴らしい生き方をしようが、あらゆる人生そのものも不幸でしかないことになります。これでは必ず“負け役”を演じると決められた八百長のようなもので、そんな馬鹿な話はありません。



卒業式でもっとも多く使われる言葉、それは「さようなら」ではないでしょうか。
「さよなら三角、また来て四角」で始まる言葉遊び歌がありますが、あんな軽やかな感じで別れの挨拶をするのも良いかもしれません。あの歌は日本全国で歌われていましたが、さまざまなバージョンがあるようです。



わたしが子どもの頃、「さよなら三角、また来て四角、四角は豆腐、豆腐は白い、白いはウサギ、ウサギははねる、はねるはカエル、カエルは青い、青いはバナナ、バナナはすべる、すべるは氷、氷は光る、光るは親父のハゲ頭」と歌っていました。こんな感じで、わたしも明るく笑いながら人生を卒業したいものです。


サンデー毎日」4月3日号の表紙



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2016年3月22日 佐久間庸和