ともいき俱楽部講演

18日、ブログ「儀式とグリーフケア」で紹介した平成心学塾での講話を終えた後、わたしは会場の松柏園ホテルからいったんサンレー本社へ戻りました。それから昼から松柏園に戻り、13時半から講演を行いました。


「ともいき俱楽部」発会式のようす

佐久間会長の挨拶



講演のタイトルは「人は老いるほど豊かになる」です。
この日、人生の達人を集めた「ともいき俱楽部」の発会式が開かれ、その記念講演として、わたしが講演をすることになったのです。


わたしが講演しました

礼=ハートフル

冠婚葬祭は「文化の核」



「人は老いるほど豊かになる」という講演テーマは、もともと拙著『老福論』(成甲書房)のサブタイトルです。わたしは、もう何百回もこのテーマで講演してきました。「老い」は人類にとって新しい価値です。自然的事実としての「老い」は昔からありましたし、社会的事実としての「老い」も、それぞれの時代、それぞれの社会にありました。しかし、「老い」の持つ意味、そして価値は、これまでとは格段に違ってきています。


好老社会(古代エジプト

好老社会(江戸時代)



これまで「老い」は否定的にとらえられがちでした。
仏教では、生まれること、老いること、病むこと、そして死ぬこと、すなわち「生老病死」を人間にとっての苦悩とみなしています。現在では、生まれることが苦悩とは考えられなくなりました。
でも、まだ老病死の苦悩が残ります。わたしたち人間が一個の生物である以上、老病死は避けることのできない現実です。日本人の「こころ」には仏教の他に、神道儒教も強い影響を与えています。「老い」とは、神道では神に近い翁となることであり、儒教では人間的完成の過程です。


高齢者をとらえなおす

人は老いるほど豊かになる



それならば、いっそ老病死を苦悩ととらえない方が精神衛生上もよいし、前向きに幸福な人生が歩めるのではないでしょうか。
すべては、気の持ちようであり、苦悩や不幸はすべて人間の心が生みだすものです。ですから、これからは「人は老いるほど豊かになる」という魔法の呪文をいつも心の中で唱えて下さいと訴えるのです。すると、必ず、そうなるから不思議です。


「長寿祝い」について話しました



また、わたしは北九州市の未来についてお話ししました。
北九州市の最大の特徴とは何か。それは、高齢者が多いことです。98万1174人の人口に対して、65歳以上の高齢者は25万7315人で、高齢者比率はじつに26・2%となっています(数字は、いずれも平成25年3月31日、住民基本台帳人口要覧による)。この高齢者比率は、全国に20ある政令指定都市の中で最も高い数字です。
北九州市はいわば「日本一の高齢化都市」であると言ってよいでしょう。そこで、わたしは日本中の高齢者の方々にも北九州市に来ていただきたいと考えています。現在、全国には600万8000人(平成27年、内閣府の推定)もの独居老人が分散しています。そういった方々に北九州に参集していただき、余生を過ごしていただきたいのです。


北九州の未来について話しました



わたしは「人は老いるほど豊かになる」というコンセプトに基づく「老福都市」をイメージし、そのモデルとして2004年に高齢者複合施設「サンレーグランドホテル」を北九州市八幡西区に作りました。セレモニーホールと高齢者用のカルチャーセンターなどが合体した前代未聞の施設として大きな話題になりました。「老い」と「死」に価値を置く施設であるサンレーグランドホテル北九州市に誕生したことは多くの方々から評価されました。なぜなら、高齢化が進む日本の諸都市、世界各国の都市にとって北九州市とは自らの未来の姿そのものだからです。こういった考え方も、すべてドラッカーの「強みを生かす」という思想をベースにしています。


北九州を「老福都市」にしよう!



わたしは、北九州市は「老福都市」を、「助け合い都市」を、そして「隣人愛都市」を目指すべきだと確信します。それは「社会福祉都市」でもあります。
そんな都市が日本にできるなんて素敵ではありませんか!
そんなことをお話したところ、盛大な拍手を受けて感激しました。


著書の販売コーナーもありました



それから、今日はわたしの著書の販売コーナーが設置されました。
みなさん、いろいろと立ち読みされてから、購入していただきました。特に、『思い出ノート』(現代書林)と『決定版 終活入門』(実業之日本社)の人気が高かったようです。
この日は朝からハード・スケジュールでしたが、非常に充実した一日でした。
天下布礼」への手応えをしっかりと感じることができました。



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2016年3月19日 佐久間庸和