すごすぎる!教授退職記念講演

日に日に暖かくなって春の訪れを感じますね。
サンデー毎日」2016年3月20日号が出ました。
わたしは、同誌にコラム「一条真也の人生の四季」を連載しています。
第22回目のタイトルは「すごすぎる!教授退職記念講演」です。


サンデー毎日」3月20日号



鎌田東二という方がいます。宗教哲学者にして神道ソングライターという異色の存在です。
いつも緑色の服装をしている不思議な人です。
出会いはもう四半世紀前になります。意気投合して「義兄弟」の間柄となったわたしたちは、10年以上も満月のたびにWEB上で文通を交わし、共著も5冊を数えます。



その鎌田氏が8年間勤めた「京都大学こころの未来研究センター」を定年退職されることになりました。記念の講演会・シンポジウムが京都で開催されるというので、わたしも小倉から新幹線で駆け付けました。鎌田氏は記念講演に先立って、まず法螺貝を独奏しました。



続いて、直立不動のまま歌い出したので驚きました。まるでミュージカルの舞台を見ているようでしたが、その歌は「この光を導くものは この光とともにある♪」で始まり、最後は「生きて、生きて、生きてゆけ〜♪」で終わる不思議な歌でした。10年前にJR渋谷駅の階段の間で、この歌が思い浮かんだといいます。



いよいよ退職記念講演がスタートしあした。演題は「日本文化における身心変容のワザ」でしたが、鎌田氏は開口一番、「日本文学、日本宗教の本質は歌だと思います」と述べました。そして、「今日は日本文化の本質を語りたい」と言い、『古事記』や『古今和歌集』との出会いを熱く語りました。



鎌田氏は、『古今和歌集』の編者として「仮名序」という歌の哲学を書いた紀貫之や、宇宙を容れる器としての俳諧を究めた松尾芭蕉のことを「すごすぎる!」と絶賛しました。
講演後は、パフォーマンスの時間です。鎌田氏は石笛、横笛、法螺貝を立て続けに演奏しました。さらには、サングラスをかけ、エレキギター神道ソングを歌い始めたのです。



アカデミズムの殿堂である京都大学の稲盛ホールが一瞬にしてライブハウスに変貌しました。何から何まで型破り、前代未聞・空前絶後の教授退職記念講演でした。
「すごすぎる!」の声が各所から上がっていました。


サンデー毎日」3月20日号の表紙



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2016年3月7日 佐久間庸和