お雛さまのアップデート


今日から3月ですね。本当に時間の過ぎるのが速いですね。
サンデー毎日」2016年3月13日号が出ました。
わたしは、同誌にコラム「一条真也の人生の四季」を連載しています。
第21回目のタイトルは「お雛さまのアップデート」です。


サンデー毎日」3月13日号



3月3日は桃の節句、「雛祭り」です。
わたしは、弟との2人兄弟です。ですから、子どもの頃は雛祭りには無縁のはずでした。しかし、わが実家には雛人形がたくさんありました。母が雛人形が大好きで、コレクションしていたからです。毎年3月になると、人形たちが家中に飾られました。



わたしには2人の娘がおり、わが家では妻が広島の実家から持参してきた雛人形が飾られています。妻は姉との2人姉妹で、ずっとこの人形で桃の節句を祝ってきたのだそうです。
やはり、雛祭りの季節になると、わたしは娘たちの将来に思いを馳せてしまいます。親として彼女たちの幸せを祈らずにいられません。



この「雛祭り」の起源は3世紀前後の古代中国の風習だといわれます。
季節の変わり目に災いをもたらす邪気を祓うため、3月最初の巳の日=上巳に禊を行っていたようです。この風習が遣唐使によってわが国に伝えられ、天皇の安泰を願う禊の神事となり、平安時代には宮中行事となったのです。



雛祭りの「ひな」は「雛(ひいな)」であり、小さくかわいらしいものを指します。
一方で、人の厄を身代わりする男女一対の紙人形が「ひな人形」の原型とされ、室町期から川へ流すものから飾るものに変化していき、幕末の頃には官女やお囃子も加わり、現在の「雛飾り」へと発展しました。



さて、雛壇の最上段には、男雛と女雛が鎮座していますが、地域によって左右どちらに置くか異なります。京都ではお内裏様を向かって右に飾ります。これは京都御所の紫宸殿における御即位に由来し、「左をもって尊し」という古来の風習に則った飾り方です。



しかし、全国的に男雛は向かって左に飾られています。その理由はプロトコール(国際儀礼)では右上位であり、明治以降、急速な西洋化の影響で起こったといいます。昭和天皇即位の礼では、天皇陛下の左側に皇后さまがお並びになり、そのお写真にならって左右が逆転したのでしょう。雛祭りもアップデートするのです。


サンデー毎日」3月13日号の表紙



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2016年3月1日 佐久間庸和