長寿祝いは人生の祝勝会

京都から小倉に帰ってきました。体調は相変わらずです。
サンデー毎日」2016年3月6日号が出ました。
わたしは、同誌にコラム「一条真也の人生の四季」を連載しています。
第20回目のタイトルは「長寿祝いは人生の祝勝会」です。


サンデー毎日」3月6日号



先日、知り合いの編集者が「還暦」を迎えたので、お祝い会を開きました。
まずはホテルのBARで待ち合わせ、シャンパンで乾杯。その後は食事して、スナックでカラオケという、いわゆる「おじさんコース」でした。



近年、30歳前後を「アラサ―」、40歳前後は「アラフォー」、50歳前後は「アラフィフ」と呼びます。60歳前後は伝説の名俳優・嵐寛十郎を思わせる「アラカン」と言うそうです。還暦は第二の誕生とされ、生まれ直すとの意味合いで、赤子のように赤色の衣服や頭巾などを贈って祝います。還暦に贈る赤色は、赤子に贈る赤い品々になぞらえているといいます。



では、なぜ赤色なのでしょうか。赤色は、朱色や紅色なども含めて祝意を表すもので、縁起物や祝い事の膳椀、酒樽などに使われた。魔除けの意味でも赤色は重視されたようです。
わたしは、赤のチャンチャンコの代わりに、「還暦祝い」として、その人にラルフ・ローレンの赤いVネックセーターをプレゼントしました。



日本には、長寿祝いというものがあります。数え年で61歳の「還暦」、70歳の「古稀」、77歳の「喜寿」、80歳の「傘寿」、88歳の「米寿」、90歳の「卒寿」、99歳の「白寿」などです。
そのいわれは、次の通り。還暦は、生まれ年と同じ干支の年を迎えることから暦に還るといいます。古稀は、杜甫(とほ)の詩である「人生七十古来稀也」に由来します。喜寿は、喜の草書体が「七十七」であることから。傘寿は、傘の略字が「八十」に通じ、米寿は八十八が「米」の字に通じます。卒寿は、卒の略字の「卆」が九十に通じます。そして白寿は、百から一をとると、字は「白」になり、数は九十九になるというわけです。



沖縄の人々は「生年祝い」としてさらに長寿を盛大に祝います。それらは高齢者が厳しい生物的競争を勝ち抜いてきた人生の勝利者であることを示し、「人は老いるほど豊かになる」ということをくっきりとした形で見せてくれます。長寿祝いとは、大いなる人生の祝勝会なのです。


サンデー毎日」3月6日号の表紙



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2016年2月23日 佐久間庸和