正月に日本人について考える


正月三が日も終わりましたね。
4日は、会社の「新年祝賀式典」および「新年祝賀会」が開かれます。
さて、「サンデー毎日」2016年1月17日号が出ました。
わたしは、同誌にコラム「一条真也の人生の四季」を連載しています。
第13回目のタイトルは「正月に日本人について考える」です。



サンデー毎日」1月17日号



みなさん、この正月はどのように過ごされたでしょうか。わたしは元日の早朝、九州最北端の神社の1つである門司の「皇産霊神社」で初詣をしました。明治以前の正月元旦は、家族とともに、「年神」(歳徳神)を迎えるため、家のなかに慎み籠って、これを静かに待つ日でした。この年神とは、もとは先祖の霊の融合体ともいえる「祖霊」であったとされています。



本来、正月は盆と同様に祖霊祭祀の機会であったことは、お隣の中国や韓国の正月行事を見ても理解できるでしょう。つまり、正月とは死者のための祭りなのです。この説を唱えた人物こそ、日本民俗学を創設した柳田國男その人でした。
わたしの父でサンレーグループ会長の佐久間進國學院大學で日本民俗学を学び、そのまさに中心テーマである「冠婚葬祭」を生業としました。



國學院」の「国学」とは、「日本人とは何か」を追求した学問で、契沖、賀茂真淵本居宣長平田篤胤らが活躍しました。わたしの実家の書庫には彼らの全集が揃っており、わたしは高校時代から国学に関心を抱いていました。そして、「日本人とは何か」という国学の問題意識を継承したのが、「新国学」としての日本民俗学です。実家の書庫には、柳田國男折口信夫の全集をはじめとする民俗学の本もずらりと並んでいました。



無縁社会」とか、「葬式は、要らない」などといった虚無感あふれる言葉が登場した現在、日本人の原点を見直す意味でも、日本民俗学の再評価が必要ではないでしょうか。わたしは現在、冠婚葬祭互助会の全国団体の会長を務めています。互助会の使命とは、日本人の原点を見つめ、日本人を原点に戻すこと、そして日本人を幸せにすることです。



結婚式や葬儀の二大儀礼をはじめ、宮参り、七五三、成人式、長寿祝いなどの「冠婚葬祭」、そして正月や節句や盆などの「年中行事」。これらには「日本人とは何か」の答えが詰まっています。これからも、わたしは日本人を幸せにするお手伝いがしたいです。


サンデー毎日」1月17日号の表紙



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2016年1月4日 佐久間庸和