七五三で子や孫の成長を確認する

天下布礼」に休みなし! 10日の朝、東京に出張します。國學院のオープンカレッジで玄侑宗久先生の特別講義を拝聴した後、いくつかの出版関係の打ち合わせを行います。
11日からは全互連の仲間たちと一緒にバリ島に徒に、現地の結婚式や葬儀を視察します。
ところで、「サンデー毎日」11月22日号が出ました。
わたしは、コラム「一条真也の人生の四季」を連載しています。
第6回目のタイトルは「七五三で子や孫の成長を確認する」です。


サンデー毎日」11月22発売号



七五三の季節ですが、少子化で一人当たりの子供にかける金額は増加しています。最近は、ホテルなどで神式・衣装・写真・食事を一体化した「七五三パック」が人気のようです。
日本には古来より「七歳までは神の内」という言葉や、七歳までに死んだ子どもには正式な葬式を出さず仮葬をして家の中に子供墓をつくり、その家の子供として生まれ変わりを願うといった習俗がありました。つまり、子供というものはまだ霊魂が安定せず「この世」と「あの世」の狭間にたゆたうような存在であると考えられていたのです。



七五三はそうした不安定な存在の子供が次第に社会の一員として受け入れられていくための大切な通過儀礼です。一般に3歳の男女児と5歳の男児、7歳の女児を対象に、これまでの無事の感謝と更なる成長を祈願して氏神に参詣する儀礼ですが、その時代や地方によって年齢と性別の組み合わせはさまざまで、二歳や九歳で同様の儀礼を行うところもあります。



11月15日という日付の由来にも諸説あり、地方によっては必ずしもこの日に行われてはいなかったようです。現在のような華美な七五三の風景は明治以降のものです。七五三では、子供の無事の成長を祝います。人間の場合は、外敵もいないわけではありませんが、むしろ病気や飢餓で亡くなる子供が多かったです。貧しい家では、産むことさえ難しかったのです。



人形の「こけし」とは「子消し」であり、わが子を消すという悲しみから供養をした親の沈痛な心情が、そこに込められているのです。かくも子供が無事に成長するということは大変なことだったのです。だからこそ、七五三で子や孫の成長を確認する喜びはひとしおです。子供の方も、幼いながらも親の愛情を一身に浴びて育てられているという実感が、ハレの着物や珍しい千歳飴などから伝わってきます。幼いなりに、親に深く愛されているという安心感と満足感、感謝の念が、心の中に湧いてくるのではないでしょうか。



サンデー毎日」11月22日号の表紙


*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2015年11月10日 佐久間庸和