夢から志へ・・・

18日は、早朝から松柏園ホテルの神殿で月次祭を行いました。
戸上神社の是則神職が神事を執り行って下さいました。
祭主である佐久間進会長に続いて、わたしは参列者を代表して玉串奉奠しました。


月次祭のようす

玉串奉奠する佐久間会長



神事の後は、恒例の「平成心学塾」を開催しました。
最初に、サンレーグループ佐久間進会長が檀上に立ち、簡単に訓話をしました。


平成心学塾のようす

パワーポイントで「冠婚部門 今後の在り方」を説明



続いて、松柏園ホテル総支配人で冠婚事業部の山下格部長が今後の商品企画や営業施策について説明しました。山下部長はまだ若くて情熱があるので楽しみです。来年の創業50周年に向けて松柏園ホテルもスーパー・リニューアルを計画しており、今後さらにわが社の冠婚事業部は発展すると思います。


わたしが登壇しました

今日は「夢」について語りました



そして、最後は社長であるわたしが登壇しました。
わたしは「夢」について語りました。最近、わたしの大きな夢が叶いました。ブログ「稲盛和夫氏にお会いしました!」に書いたように、日頃より私淑する稲盛財団稲盛和夫理事長にお会いしたのです。
9月13日、わたしは朝から京都ホテルオークラにいました。わたしは「京都大学こころの未来研究センター」連携研究員を務めているのですが、同センター主催の「京都こころ会議」シンポジウムに参加したのです。冒頭、稲盛理事長が祝辞を述べられることになっていました。そして、来場された稲盛理事長を同センターの教授である鎌田東二先生が、シンポジウムの開始前に紹介して下さったのです。


稲盛理事長との出会いを語りました



わたしは、つねづね稲盛理事長を尊敬申し上げています。しかし、じつは実際にお会いするのはこれが初めてです。稲盛理事長とわたしは2012年に第2回「孔子文化賞」を同時受賞させていただいております。でも、授賞式には弟の稲盛豊氏(稲盛財団専務理事)が代理で出席され、ご本人とお会いすることは叶いませんでした。それを義兄弟である鎌田先生が「孔子文化賞を同時受賞された一条真也さんをご紹介いたします」と名刺交換の機会を与えて下さったのです。稲盛理事長は「おお、あなたが一条さんですか!」とわたしのことをご存知で、まことに感激いたしました。稲盛理事長からも丁重にお名刺を頂戴しました。この名刺はわたしの宝物です。日本経済界最高のリーダーであるにもかかわらず、稲盛理事長は腰の低い素晴らしい人格者でした。わたしは、胸いっぱいで「心より尊敬申し上げております。御著書はすべて拝読させていただきました。今日は御挨拶させていただき、まことに光栄でございます」と言うと、稲盛理事長はニッコリと微笑んで下さいました。


「私淑」について語る



わたしは憧れの方にお会いできて、本当に感激しました。
孟子が会うことのなかった孔子に私淑(この言葉の出典は『孟子』です)したように、平田篤胤が会うことのなかった本居宣長に夢の中で弟子入りしたように、わたしも稲盛理事長とお会いする機会がないのかと諦めていました。全互協の事業継承委員長時代に稲盛理事長の講演会を企画しようともしましたが、残念ながら諸般の事情で実現しませんでした。


「京都の朝」の感激を語る



わが夢を叶えて下さったのは鎌田東二先生その人です。まさに、鎌田先生こそは最高の「現代の縁の行者」でした。心より感謝いたします。わたしは私淑する渋沢栄一翁や松下幸之助翁や出光佐三翁にはお会いすることはできませんでしたが、稲盛和夫翁にはお会いできました。まさに本居宣長賀茂真淵と運命の邂逅を果たした「松坂の一夜」ならぬ「京都の朝」でした。


立て続けに夢が実現しました



考えてみれば、ここ最近、わたしの夢が立て続けに実現してきています。
稲盛理事長とともに最も尊敬申し上げていた渡部昇一先生にお会いして、「世界一」とされる先生の書斎や書庫を拝見させていただいたばかりか、渡部先生と対談本まで出させていただきました。本当に夢のようでした。
夢といえば、若い頃に愛読していた鎌田東二先生と毎月文通して本まで出せるとは思いませんでした。このたび、最新刊『満月交遊 ムーンサルトレター』(水曜社)が刊行されますが、まことに光栄です。先日の「京都こころ会議」シンポジウムでは、鎌田先生が当代最高の宗教哲学者であることを痛感しました。


毎日新聞はすごいんです! 



また、孔子文化賞を受賞すること、大学の客員教授になることなどの夢も叶いました。また、「毎日新聞」に本名でコラムを連載すること、日経電子版にコラムを連載することなどもささやかな夢でしたが、これも叶いました。週刊誌に連載するという夢もありましたが、このたび日本最初の総合週刊誌である「サンデー毎日」での連載が決定しました。先日、編集長さんが社長さんの親書を持ってこの松柏園に来られ、連載を依頼されたのです。「サンデー毎日」は1922年(大正11年)に大阪毎日新聞社の新社屋落成の記念に創刊されました。ちなみに、日本最初の日刊紙は1870年(明治3年)に創刊された「横浜毎日新聞」で、72年には「東京日日新聞」(現在の毎日新聞)が創刊されています。毎日新聞はすごいんです! 


わたしにとって本当の夢とは何か?



長年の宿敵である某宗教学者との対談も実現しそうです。
本当に次から次に夢が叶い、感謝の気持ちでいっぱいです。しかし、わたしにとって本当の夢とは何か。それは、「サンレーを名実ともに超一流の会社にすること」「世の中に礼=人間尊重思想を広めること」「日本で人が亡くなっても『不幸』とは言わなくなること」です。


誰でも夢を持っていた



誰でも少年や少女の頃には夢を持っていました。長嶋茂雄イチローは野球少年時代から「一流のプロ野球選手になる」という夢を抱き、それを果たしました。ナポレオンは雨上がりの虹を見て、「あの虹をつかまえてやる」と叫んで、駆け出したといいます。シュリーマンは、よく知られているように、子どもの頃に本で読んだトロイの遺跡が実在すると信じ、大人になったら自分がそれを発掘するという夢を持っていました。



夢というのは必ず実現できるものであると、わたしは思います。偉大な夢の前に、これまで数多くの「不可能」が姿を消してきました。最初の飛行機が飛ぶ以前に生まれた人で、現在でも生きている人がいます。彼らの何人かは空気より重い物体の飛行は科学的に不可能であると聞かされ、この不可能を証明する多くの技術的説明書が書かれたものを読んだことでしょう。これらの説明を行った科学者の名前はすっかり忘れてしまったけれども、あの勇気あるライト兄弟の名はみな覚えているのです。ライト兄弟の夢が人類に空を飛ばせたのです。


人類は月に立った!



宇宙旅行もこれと同じです。地球の重力圏から脱出することなど絶対に不可能だとされていました。すなわち、学識のある教授たちが、1957年にスプートニク1号が軌道に乗る1年ほど前までは、こんなことは問題外だと断言し続けてきました。その4年後の61年には、ガガーリンの乗った人間衛星船ヴォストーク1号を打ち上げ、人類最初の宇宙旅行に成功しました。さらに69年にはアポロ11号のアームストロングとオルドリンが初めて月面に着陸しました。ここに古来あらゆる民族が夢に見続け、シラノ・ド・ヴェルジュラック、ヴェルヌ、ウェルズといったSF作家たちがその実現方法を提案してきた月世界旅行は、ドラマティックに実現したのです。気の遠くなるほど長いあいだ夢に見た結果、人類はついに月に立ったのです!


ディズニーの言葉について



“If you can drea it,you can do it.”
この言葉は、かのウォルト・ディズニーによるもので、わたしの座右の銘の1つです。人間が夢見ることで、不可能なことなど1つもないのです。逆に言うなら、本当に実現できないことは、人間は初めから夢を見れないようになっているのです。
そして、わたしにとっての「夢」とは「志」というものに通じています。結局、リーダーにとって最も大切なものは「志」であると思います。志とは心がめざす方向、つまり心のベクトルです。行き先のわからない船や飛行機には誰も乗らないように、心の行き先が定まっていないような者には、誰も共感しませんし、ましてや絶対について行こうとはしません。



志に生きる者を志士と呼びます。幕末の志士たちはみな、青雲の志を抱いていました。吉田松陰は、人生において最も基本となる大切なものは、志を立てることだと日頃から門下生たちに説いていました。そして、志の何たるかについて、こう説きました。
「志というものは、国家国民のことを憂いて、一点の私心もないものである。その志に誤りがないことを自ら確信すれば、天地、祖先に対して少しもおそれることはない。天下後世に対しても恥じるところはない」


志士とは何か?



また、志を持ったら、その志すところを身をもって行動に現わさなければなりません。その実践者こそ志士であるとする松陰は、志士の在りよう、覚悟というものをこう述べました。
「志士とは、高い理想を持ち、いかなる場面に出遭おうとも、その節操を変えない人物をいう。節操を守る人物は、困窮に陥ることはもとより覚悟の前で、いつ死んでもよいとの覚悟もできているものである」


夢は私、志は公に通じている!



わたしは、志というのは何よりも「無私」であってこそ、その呼び名に値するのであると強調したいです。松陰の言葉に「志なき者は、虫(無志)である」というのがありますが、これをもじれば、「志ある者は、無私である」と言えるでしょう。平たく言えば、「自分が幸せになりたい」というのは夢であり、「世の多くの人々を幸せにしたい」というのが志です。夢は私、志は公に通じているのです。自分ではなく、世の多くの人々。「幸せになりたい」ではなく「幸せにしたい」、この違いが重要なのです。企業もしかり。もっとこの商品を買ってほしいとか、もっと売上げを伸ばしたいとか、株式を上場したいなどというのは、すべて私的利益に向いた夢にすぎません。そこに公的利益はありません。社員の給料を上げたいとか、待遇を良くしたいというのは、一見、志のようではありますが、やはり身内の幸福を願う夢であると言えるでしょう。真の志は、あくまで世のため人のために立てるものなのです。


経営者としての志を語りました



わたしにも経営者としての志があります。冠婚葬祭業を営む者として、日本人の離婚件数と自殺者数、そして孤独死の数を減らしたいと思っています。そのために「隣人祭り」やグリーフケア・サポートなど、具体的なプロジェクトも推進してきました。さらには、必ず死ぬべき人が亡くなっても「不幸があった」などと言わない社会にすべく、夜空に浮かぶ月をあの世に見立てて、死を詩に変えるという志を立てています。


「風吹月不動」の精神で・・・・・・



月といえば、中国には「風吹月不動」という言葉があります。台風などが来ると、強風に吹き飛ばされた雲が次々に空を走り去っていきます。一方、それはまるで月が猛烈な勢いで空を飛んでいるようにも見えます。しかし実際には、いかに強風が吹き荒れようとも、月は動じないで、天体としての運行を淡々と行っているという意味です。
わたしの志、心のベクトルはまさに月に向かっています。どんなに強風に吹かれても動じない月のように、いかなる試練が訪れようとも決して志を曲げるつもりはありません。
「風吹月不動」の精神で、わが志を果たしたいと思います。
ということで、ブログ「隣人祭り・秋の観月会」に書いたように、来る9月26日には「月への送魂」のデモンストレーションを行います。


最後に佐久間会長が挨拶しました



9月26日は、佐久間会長の80回目の誕生日でもあります。
じつは先日、「孔子の子孫」こと孔子の第75代子孫であり、一般社団法人・世界孔子協会の会長である孔健会長から連絡があり、わたしの父である佐久間進の「孔子経営賞」受賞が決定したとの報告を受けました。思わぬ知らせにわたしも驚きましたが、なんと稲盛和夫氏が審査委員長とのことでした。父子で御縁をいただき、まことに光栄です。



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2015年9月18日 佐久間庸和