民生委員制度を考える

東京に来ています。26日は、新橋にある全互協で重要な会議が開催されます。いま、冠婚葬祭互助会業界も大きな過渡期にさしかかっていることを実感していますが、たとえ社会的環境の変化があっても、わたしは「日本人にとって互助会は必要!」と信じています。
さて、今日の「毎日新聞」朝刊に第35回目となる「北九州発 ハートフル通信」が掲載されました。今回のタイトルは、「民生委員制度を考える」です。



毎日新聞」6月26日朝刊



先日、「黒崎ひびしんホール」の大ホールで民生委員および児童委員の総会に招かれ、講演させていただきました。主催は、八幡西区民生委員児童委員協議会で、講演テーマは「人は老いるほど豊かになる」でした。
ますます進む高齢化社会において、さまざまな「老い」に寄り添いながら活動に取り組む民生委員の方々は、地域住民にもっとも身近な相談・支援者として、地域福祉の増進に努められています。そこで、高齢者が住みなれた地域で生き生きとした生活を続けていける支援につながるように「豊かな老い」について、わたしに講演してほしいとの依頼を受けたのです。



登壇したわたしは最初に「今日は、民生委員さんの総会で講演できるなんて、本当に光栄です。わたしは『助け合いは人類の本能である』と思っていますが、言うはやすく、行うは難し。文字通りの利他の人生を送っておられるみなさんを心の底から尊敬しています」と、本心を述べさせていただきました。



わたしは北九州市が「老福都市」となり、日本が「老福国家」となるために、民生委員の存在はきわめて大きいと考えています。「無縁社会」「老人漂流社会」といわれる現在、独居老人の孤立死を防ぐ民生委員の役割は大きくなる一方です。
孤立死が増加する原因の1つは「民生委員制度」が機能しなくなったことではないでしょうか。高齢単身者がどのような生活状況、あるいは健康状況にあるかを監視するのが、地域の民生委員の役割です。この民生委員制度が制度疲労を起こして、うまく機能していないように思うのです。



わたしは、行政が困っているときは民間に委託すべきだと考えます。これは郵便局の事業の一部を宅配便業者が行ったり、警察の仕事の一部を警備業者がやったりするのと同じようなことです。つまり、行政サービスの民間委託ということです。
わたしは高齢者を主な対象とした冠婚葬祭互助会を経営していますが、民生委員が少なくて困っているのなら、互助会業界に一任されてはどうかと思います。互助会には高齢者宅を訪問する営業スタッフが多く在籍しています。



例えば、行政からの委託を受け、互助会スタッフが民生委員の方々をサポートして、独居老人の安否確認を行うのです。これは互助会の社会貢献になるだけでなく、「相互扶助」がコンセプトの互助会が本来の使命を果たすことにもなります。
わたしはこの日本から孤立死をなくし、無縁社会を乗り越えたいと心から願っています。そして北九州市こそ、その最高のチャレンジの場とも思っています。


民生委員総会での講演のようす

民生委員のみなさんに本心を訴えました



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2015年6月26日 佐久間庸和