「人間尊重」「礼経一致」の経営を実践

九州を代表する財界誌として知られる「財界九州」の6月号が届きました。
人気企画である「あの日あの頃 私の原点」のコーナーに、サンレーグループ佐久間進会長が登場しています。故小笠原忠統氏(小笠原流礼法第32代宗家)、故樋口清之氏(國學院大学教授)、中曽根康弘元首相、故李方子氏(李王朝最後の妃殿下)、さらには世界平和パゴダのウ・ウィマラ住職、ケミンダラ僧侶らと一緒の写真も掲載されています。


「財界九州」2015年6月号



記事は「『人間尊重』『礼経一致』の経営を実践」として、以下のように書かれています。
「冠婚葬祭のサンレーグループは来年、おかげさまで創業50周年の節目を迎える。半世紀にわたり会社を存続させることができたのは、「人間尊重」という当社の基本理念を事業経営や社会貢献の中で実践し続け、お客さまに最高の満足を提供し、お客さまから最適な利益を得る「礼経一致」という姿勢が支持されてきたからにほかならない。
松柏園ホテルは、もともと義父が経営していたが、私が後継の指名を受けた。しかし、知識も経験も全くなかった私は、國學院大學を卒業後、東京YMCA国際ホテル専門学校の門をたたいた。日本で最も歴史ある専門学校で勉強したが、どんなホテルを目指していけば良いのか分からず、模索の日々が続いていた。そんなある日、新聞に目をやると、紙面は記事や広告で埋まり、空欄が全くないことに気づいた。当時のホテルは、宴会や催事などはほとんど夜に行われ、昼間は、ほとんどがらんとしていた。新聞のように全部埋めるには、昼間を埋めるしかないと考えた私は、お客さまにホテルでの結婚式を提案した。神社や公民館などで式を挙げるのが一般的だった時代に、ホテルでの豪華な結婚式は大変珍しく、その後、あっという間に普及していった。
また当時、名古屋で広まっていた冠婚葬祭互助会に興味を持ち、私も挑戦したくなった。そこで、母校の國學院大學を訪ね、民俗学で有名な樋口清之教授の助言を仰いだ。先生は、話を聞くなり『それは面白い。互いに助け合うことは、日本の民族性に合致している』と賛同してくださり、『ホテル業はおもてなしの精神であり、せっかく小倉にいるのだから、ぜひ小笠原流礼法を学ぶべきだ』と勧めてくださった。こうして、宗家・小笠原忠統氏との縁が生まれたのだった。
その後、小倉で冠婚葬祭互助会事業を立ち上げ、1口200円で申し込みを受けつけると、互助会は予想以上の反響を見せた。そんなある日、北九州の門司港を歩いていると、出光興産の創業者・出光佐三氏の資料館を偶然見つけた。館内には、氏の『人間尊重』という言葉とともに『社会とは人間が集まってできたものであるから、人間は互いに仲良くすること、そして力を合わせることが大切です。それは人間の尊厳だからです。平和の基です。人間の美しさでもあります。私はそれを人間尊重と言っております』との書が飾られていた。これを読んだ瞬間、雷に打たれたような衝撃を受け、『そうだ、皆が力を合わせ、協力していくことを大切にしよう」と思い、この�人間尊重�を当社の基本理念に掲げたのである。
現在、サンレーグループは、8カ所の冠婚施設と62カ所の葬祭施設、介護施設1カ所の運営を行っている。今後は、日本の思いやりの精神、利他・愛他の精神から誕生した互助会を、他国にも広めていきたい。なかでもミャンマーは、信仰心に厚く温厚な性格の人が多く、経済状況は戦後の日本にとてもよく似ている。日緬(にちめん)仏教文化交流協会会長を務める私は、門司港の世界平和パゴダの再興などを通じて日緬友好のお手伝いをしているが、同国での互助会普及をなんとしてでも成功させたい。
今年齢(よわい)80を迎え、しみじみ感じることは、『人間は生まれる前から歩む道が決まっており、天からの使命を帯びてこの世に誕生し、生かされている』ということだ。私の生まれは1935年。入学したホテル専門学校の創立が同年、民俗学が誕生したのもこの年である。何か不思議な因縁を感じざるを得ない。
現代社会は『老人漂流社会』『無縁社会』と言われ、これからの日本は、互いに支え合う社会を作っていかねばならない。そのために必要なのは、隣近所が支え合う『近助』である。当社は、数年前から『隣人祭り』や『ともいき倶楽部』を定期的に開催し、地域住民の交流促進を図っている。少しでも『近助』のお役に立てれば幸いである」



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2015年5月19日 佐久間庸和