小倉紫雲閣リニューアル完成!

12月26日の今日で仕事納めの会社も多いのではないでしょうか?
しかし、わが社にとっては、記念すべき日となりました。
紫雲閣グループの旗艦店である「小倉紫雲閣」は、初秋から外壁改装工事を進めてきましたが、ようやく完了したのです。本日、工事用の足場と覆いがすべて外され、ついに新たな外観がお目見えしました。伝統とモダンが見事に調和した姿は、セレモニーホールの象徴としての見事な仕上がりとなっています。


リニューアル完成した小倉紫雲閣

「精神文化の殿堂」を目指します!



施設の顔ともいえる1〜2階の基壇部は、日本伝統建築方式による格式と荘厳さを表現した意匠であり、本瓦葺き屋根・漆喰壁調、柱梁の強調したデザインは、日本建築のDNAをしっかりと受け継いでいます。また、3階以上の上層部の外壁デザインは、清潔感のある白色をベースに深紫の列柱が織り成すモダンな仕様となっています。
新しい小倉紫雲閣は、銀閣桂離宮のように「月」をテーマにした建築となっています。観月にふさわしい施設ということもありますが、何より月光を浴びて美しく輝く素材を使用しています。もともと、金閣銀閣飛雲閣といった「楼閣」というものは「月」を意識して作られたとか。


正面玄関のようす

日本建築のDNAとしての「本瓦葺き屋根」

リニューアルされた小倉紫雲閣の前で



今回の企画設計を請け負っていただいた株式会社スズキ設計の鈴木基正会長は、次のような詩情溢れる表現で、この外観について説明してくださいました。
「小文字山から関門海峡へと貫く風は
大自然の恵みを地上に注ぎながら流れていく
そのちょうど中間に位置するサンレー小倉紫雲閣
この地には山と海の双方から注がれる崇高な“気”がただよう
その“気”をしっかりと受けとめさせていただけるよう
建築のデザイン表現をこころがけた
深さ2.5メートルの大きな軒の出は、道往く人々を優しくつつみこみ
時空を超えた至福の世界へと誘ってくれる
深い軒庇によって優しく包まれ、抱きしめられるぬくもりは
人類共通の平和の礎であり、愛の表現」
この表現に違わず、素晴らしい仕事をしていただきました。本当にありがたいことです。


高級マンションのリビングルームをイメージしました

和洋折衷スタイルの「桜の間」

和風スタイルの「藤の間」

洋風スタイルの「秋桜の間」



なお、今年6月には外壁改装工事に先行して3階の控室を全面リニューアルしています。
まるで高級マンションのリビングルームのように控室が生まれ変わっています。
控室には次のように、3タイプがあります。いずれも、大変ご好評をいただいております。
「桜の間」 和洋折衷スタイル(30名まで対応可能 広さ193平方メートル・58坪)
「藤の間」 和風スタイル(20名まで対応可能 広さ141平方メートル・42坪)
秋桜の間」 洋風スタイル(20名まで対応可能 広さ116平方メートル・35坪)


高級ホテルをイメージした休憩室

関門海峡が一望できるバスルーム



それぞれの控室で若干仕様は異なりますが、「癒しの空間」として工夫を施してあります。
ゆったりとしたリビングはもとより、高級ホテルをイメージした休憩室も完備しています。洋室には床暖房を取り入れています。バスルームの窓からは関門海峡が一望でき、足を伸ばせる大型浴槽はもちろん、入浴中に浴室でテレビも楽しんでいただけます。さらにキッチンはオール電化となっているため、簡単な料理も可能です。


冠婚葬祭の歴史

冠婚葬祭の歴史

この小倉紫雲閣は、1978年(昭和53年)3月に誕生した施設です。
当時は「サンレープラザ紫雲閣」という名称でしたが、葬儀、そして冠婚葬祭互助会の歴史を塗り替えるほどの衝撃的なデビューでした。実際、ブログ『冠婚葬祭の歴史』で紹介した本では、「葬儀人類学者」こと田中大介氏が「死と葬儀」の中の「演出効果が求められる」の項で、小倉紫雲閣を写真付きで紹介しています。田中氏は、以下のように書いています。
「サービスの急激な拡大が、各種メディアで斎場戦争といわれるほど激化したのも事実である。とりわけ昭和53(1978)年に北九州市において、単なる『場所貸し』の枠を大きく超えた総合的なサービスを提供する葬儀会館が建設されてからは、各地で次々に同種の葬儀会館がオープンし、その規模だけでなく高級ホテルに匹敵するような便宜を互いに競いあうようになった。それはもちろん、商圏を維持、拡大するために葬祭業者どうしで鎬を削りあい、業界内部での苛烈な生存競争にますます拍車をかけるという事態へとつながったものの、その緊張感が『より細やかなサービス』や『消費者のニーズ』に対する意識を培ったことも否定できない」


冠婚葬祭の歴史』では、小倉紫雲閣を写真付きで紹介!



これまでも、小倉紫雲閣は本格的な総合葬祭会館のパイオニアであるとされてきましたが、このような冠婚葬祭の歴史書において正式に紹介されることは誠に光栄なことです。
わが社では、すでにホテルや結婚式場を運営していましたが、結婚式同様、社会情勢の変遷から、葬儀においても専用施設が必要とされる時代が到来することを創業者の佐久間進会長は予見していたわけです。「サンレープラザ紫雲閣」は地下1階、地上5階、敷地面積2,721平方メートル、総床面積5,431平方メートル、1,000名収容の大ホールを備えた大規模施設は、自宅や集会場、寺院などでの葬儀を施行していた当時、まさに業界を震撼させる一大イノベーションでした(総工費は当時の価格で約10億円)。その後、「小倉紫雲閣」と名称変更し、数度のリニューアルにより進化し続けています。


1000名収容の「大ホール」

「大ホール」へ向かう前階段

禅の「十牛図」が飾られた廊下壁面

満月の写真が飾られた廊下壁面



小倉紫雲閣は、「セレモニーホールの枠を超えている」とよく言われます。
まるで劇場かコンサートホールのような「大ホール」は約1000名収容可能です。
また館内全体が美術館のような雰囲気で統一されており、廊下には密教の「曼荼羅」をはじめ、禅の「十牛図」、さらには満月の写真などが飾られています。そう、この小倉紫雲閣は単なるセレモニーホールではなく、「精神文化の殿堂」を目指しているのです。


月の広場」にて

実際の月の満ち欠けに対応して変化します



2007年(平成19年)12月には、新たな機能を付加しています。
月の広場」および「ムーンギャラリー」です。
月の広場」は出棺時の名残惜しさを解消するために創出されたロータリー広場です。
霊柩車が周回してから出棺する演出は、ご遺族・ご参列者の心に残るものとして高い評価をいただいています。また、ロータリー中央に設置されている円形の噴水は、月の満ち欠けを一定周期で表現する仕掛けとなっています。


小倉紫雲閣の1階にある「ムーン・ギャラリー」入口

小倉紫雲閣内「ムーン・ギャラリー」では「主の祈り」を展示


ムーンギャラリー」は、ご遺族・ご参列者の心を癒す空間となっています。
内の中央には、アルフォンス・ミュシャの「主の祈り」が飾られ、ヒーリング・ミュージックをバックに拙著『愛する人をなくした人へ』を女性ナレーターが朗読したCDを常時流しています。


ムーンギャラリー小倉店の外観

ムーンギャラリー小倉店の内部



この「ムーンギャラリー」は、グリーフケア・サポートの拠点です。現在では、サンレーグランドホテル内、小倉紫雲閣の隣地に独立した店舗を展開することで、アップデートを果たしています。ムーンギャラリー小倉店内には、ヒーリングアートの最高傑作とされる長野剛画伯の「月下四聖図」や、ダウン症の天才書家として知られる金澤翔子氏の「涙の般若心経」なども飾られ、多くの“愛する人を亡くした人”たちの心を癒しています。


月下四聖図」を展示

涙の般若心経」を展示



ちなみに、冠婚葬祭業界のオピニオン・マガジンである『フューネラルビジネス』(綜合ユニコム)では、葬祭会館の全国集計を毎年掲載しています。同誌の集計によれば、一昨年は222ヵ所、昨年は219ヵ所の葬祭会館が全国でオープンし、全国の葬祭会館は昨年末で7,473ヵ所と報じています。今年も200ヵ所程度の新設があったとすれば、現在は約7,600ヵ所超ということになります。サンレーでは福岡県内で33ヵ所、全国で59ヵ所(いずれも完成分)に紫雲閣を展開していますが、現在5つの紫雲閣が建設中であります。


「初期設定」のシンボルとしての「孔子の木

孔子の木」の案内板



たしかに、いまや葬儀の場は「セレモニーホール」などの葬祭施設が主流となっています。
当然ながら、新しい施設ほど快適な機能が付加されています。しかし、葬祭施設にとって一番大事なことは葬送という「儀式」を前提とした空間設計となっているかという点にあります。この「初期設定」をないがしろにした施設は、快適な機能を附帯していたとしても基本軸が必ずブレています。小倉紫雲閣は「老舗」であるからこそ、「初期設定」を再確認しながら、時代の変遷に合わせたリノベーションを絶えず行ってきたのです。いわば「アップデート」です。礼業としての冠婚葬祭業の「初期設定」のシンボルとして、小倉紫雲閣の入口脇には「孔子の木」が植えられています。


儀式イノベーションのシンボルである「禮鐘」

「禮鐘」の説明版



さらに「仏作って魂入れず」とならないように、わが社では「儀式」そのものも時代に合わせて創出しています。例えば、昨秋以降、小倉紫雲閣はもとより、すべての紫雲閣に「禮鐘」という新たな鐘を導入しました。わが社では出棺の際に霊柩車のクラクションを鳴らさず、「禮鐘」による三点鐘(3回叩くこと)で故人を送る独自のオリジナル出棺作法「禮鐘の儀」を実施しています。この三点鐘には「感謝」「祈り」「癒し」、日本人の「こころ」の三本柱は神道・仏教・儒教、すなわち「神」「仏」「儒」、「サンレー」という社名に通じる「三禮」という意味が込められています。これからも小倉紫雲閣は、わが社のセレモニーホールのシンボルとして初期設定とアップデート、ハードとソフトのバランスをとりながら、絶えず進化を続けていきます。


これからも「天下布礼」に努めます!



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2014年12月26日 佐久間庸和