奥田知志さんとの対談

昨日の北九州は本当に寒くて風邪を引きましたが、今日は少し暖かかったです。
午前中、わたしは北九州市八幡東区荒生田にある東八幡キリスト教会を訪れました。
ブログ「東八幡キリスト教会献堂式」に書いた10月15日以来の訪問です。


東八幡キリスト教会の前で奥田知志さんと

教会が紹介された建築雑誌を見る



この東八幡キリスト教会で、わが社からホームレスの方々の「人間の尊厳」を守るための寄付金の贈呈式が行われるのです。まずは教会が大きく紹介された建築雑誌を見せていただき、それから贈呈式が行われました。わたしは株式会社サンレーの社長として、「隣人愛の実践者」こと奥田知志理事長をはじめ、NPO法人抱樸(旧・北九州ホームレス支援機構)の方々が立ち会われる中、奥田理事長に寄付金の目録をお渡ししました。


寄付金の目録をお渡ししました

感謝状をいただきました

撮影のようす

2人で記念撮影しました



わたしは「どうぞ、お納め下さいませ」と言いました。
奥田理事長は、「大事に使わせていただきます」と言われました。
次に、奥田理事長から丁重な感謝状を頂戴しました。
このことは「サンレー様よりご寄付をいただきました」として、NPO法人抱樸さんの公式HPに早速アップされていました。


奥田理事長との対談のようす



贈呈式の後、奥田理事長とわたしは対談しました。
いろいろな話題が出ましたが、「北九州ホームレス支援機構(当時)を応援するに至ったきっかけ」について問われ、わたしは以下のようにお答えしました。
「たしか2010年(平成22年)の春頃だったと思いますが、わたしどもで北九州ホームレス支援機構様より、ホームレスだった方の葬儀お手伝いをさせていただくことになった際に、葬儀を受けていただけない葬祭業者が多く困っているというお話し、併せて、その際にホームレスを自立させるための施設『抱樸館』の拡充を目指しているが資金が不足しているなどのお話をいただいたのが最初だったと記憶しています」



葬儀について意見を交換しました



続けて、わたしは冠婚葬祭業者としての立場から以下のように言いました。
「冠婚葬祭業を営むわたしは、常々『結婚は最高の平和である』、また、『死は最大の平等である』と社員に言い続けていますが、まさに、葬儀は人間にとって大変重要なことであり、人間としての尊厳を保たなければならず、処理するだけ、火葬するだけのようなことはあってはならないのです。儀式なき遺体焼却など、ナチスやオウムと変わりません!」
そう、わたしは葬儀という営みを人類の存在基盤であると思っているのです。


無縁社会」についても語り合いました



奥田理事長とわたしは「無縁社会の克服」という共通のテーマを持っていますが、わたしは以下のように述べました。
「当時、2010年(平成22年)の1月に、『無縁社会』と題したNHKスペシャルが放映され、その後NHKは報道番組などで関連する企画を放送し、無縁社会キャンペーンを展開しました。日本では少子高齢化、未婚の若者の増加、地縁血縁社会の崩壊、個人情報保護法によるプライバシー保護の厳格化、家族や社会とのコミュニケーションが希薄化しネットによる交流が主となっている若者、また終身雇用制度の崩壊をはじめ、長引く不況において団塊の世代の退職・雇用減少といった要因が重なり合い、単身者はますます孤立しやすい社会へと急速に移行し、それが孤独死へとつながっています。その原因は、日本社会があらゆる『絆』を失っていき、『無縁社会』と化したことにあるというのです。かつての日本社会には『血縁』という家族や親族との絆があり、『地縁』という地域との絆がありました。日本人は、それらを急速に失っているのです」


東日本大震災が流れを変えた!



さらに、問題は「無縁社会」だけではありません。わたしは述べました。
「この『無縁社会』という言葉は、当時社会問題化し、わたしも大変危惧していました。また、『無縁社会』の社会問題化と同じ時期に、島田裕己さんという方が『葬式は、要らない』という本を出しました。わたしは、『葬式は、要らない』などと日本中が本気で思いはじめたら、確実に人間の『いのち』は軽くなり、その尊厳はなくなってゆきます。そして、個人の倫理観は崩壊し、社会の無縁化はいっそう進行し、さらには、葬式をあげない民族も国家もないわけですから、日本人は『人の道』から外れて世界中の笑いものになると思い、そのような最悪の事態だけは、絶対に防がなければならないと思いで、『葬式は必要!』という本を出したのもちょうど同じ頃でした。流れが変わったのは、東日本大震災です。あのとき、大地震が『無縁社会』を崩壊させ、大津波が『葬式は、要らない』などという戯言を流し去ってしまいました」


「街づくり」について質問を受ける

企業経営者の立場でお答えました



奥田理事長から「街づくり」についても質問され、次のようにお答えました。
「わたしどもは冠婚葬祭という、本当に地域の市民の皆様に密着した仕事をさせていただいております。一般的に企業とは、経済的な利益をあげることにより永続的な存在となることを目指す法人ですが、私の考えは、企業は単に経済的な利益を上げることでは永続的存在とはなれません。地域の市民としての企業(企業市民)として、一般の市民がボランティアなどの社会活動を行うように、社会のための活動を行い、社会に認められる存在にならなければ永続的存在とはなり得ないと考えています。つまり、企業としてはやらなければならない事業だと思っています」


NPO法人抱樸さんへのメッセージを述べました

対談は動画で撮影されました



他にも「葬儀は宗教の最重要事」「日本仏教の問題点」「ミャンマーNPO」「現代人は想像力に欠けている」などの話をさせていただいた後、「北九州を世界一の助け合い都市にしよう!」と述べると、奥田理事長から「佐久間社長、北九州市長選に出て下さいよ!」と言われました。(笑)最後に、NPO法人抱樸さんに対してのメッセージということで、わたしは「嫌なことも多い世の中ですが、抱樸さんの活動はこの世の光です。この光がどんどん広がっていけば、世の中はもっと明るくなります。わたしどもも、今後もどんどん支援させていただきます!」と言いました。奥田理事長は大変喜ばれ、わたしたちは固い握手を交わしました。
この模様は動画で撮影され、NPO法人抱樸さんの公式HPにアップされる予定です。
なお、今日の対談はシリーズ第1回目だそうで、2回目は茂木健一郎さん、第3回目は姜尚中さんが奥田理事長と対談される予定です。わたしがトップバッターとは光栄です!


教会のバザー品を見ました

いろいろ素敵な品物を発見しました

わたしが求めたコースターとピアス

北九州抱樸館のロビーにて



対談終了後は、教会の別室でコーヒーを頂きました。そこには、信者さんたちの手作りによるバザー品が展示されており、わたした可愛いピアスとコースターを買わせていただきました。なんでも、ピアスは奥田理事長のお嬢さんの作品だそうです。
奥田理事長、今日は久々にお会いできて嬉しかったです。
わたしは「助け合いは人類の本能だ!と信じています。人類を「相互扶助」という初期設定に戻すため、この北九州の地を中心に、これからもお互いに頑張りましょう!



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2014年12月9日 佐久間庸和