営業責任者会議

8日の午後から、 サンレーグループの全国営業責任者会議が行われました。
16時半からは、恒例の社長訓話の時間でした。訓話に先立ち、営業部門の各種表彰を行いました。わたしは感謝の念を込めて、表彰状や金一封を表彰者の方々にお渡ししました。


最初に、営業優績者の表彰をしました



表彰式が終わると、わたしは60分ほどの社長訓話をしました。
冒頭、大手互助会各社も活用してくれている『決定版 終活入門』(実業之日本社)を示し、この本の使い方を説明しました。会議の出席者にはすでに同書を配布しています。
それから、ブログ「國學院大學オープンカレッジ特別講座」で紹介した講座のテーマだった「終活:人生の卒業準備」について話しました。


営業責任者会議のようす

日本民俗学との縁を語る



最初に、わたしは「みなさんは、互助会という商品を販売しています。これは、お客様に冠婚葬祭を行うことの覚悟を提供する商品です。実際、結婚式や葬儀によって、人は幸せになることができます」と述べ、「カタチにはチカラがある」という儀式の意義について説明しました。
ブログ「國學院大學オープン・カレッジ特別講座」で紹介した講義で、わたしは日本民俗学と自分との不思議な縁について述べました。それから、サンレーグループ佐久間進会長が國學院大學の出身であり、日本民俗学が誕生した昭和10年にこの世に生を受けています。また、佐久間会長は亥年ですが、ともに國學院の教授を務めた日本民俗学の二大巨人・柳田國男折口信夫の2人も一回り違う亥年でした。
佐久間会長が國學院で学び、日本民俗学のまさに中心テーマである「冠婚葬祭」を生業としたことに何か運命的なものを感じます。わたし自身は、佐久間会長から思想と事業を受け継いでおり、幼少の頃から日本民俗学の香りを嗅いできました。


冠婚葬祭互助会の使命とは?



國學院」の「国学」とは、「日本人とは何か」を追求した学問で、契沖、賀茂真淵本居宣長平田篤胤らが活躍しました。
そして、「日本人とは何か」という国学の問題意識を継承したのが、「新国学」としての日本民俗学です。わたしは、「無縁社会」とか「葬式は、要らない」などの言葉が流行するような現在、日本人の原点を見直す意味でも日本民俗学の再評価が必要であると思います。わたしは「冠婚葬祭互助会の使命とは、日本人の原点を見つめ、日本人を原点に戻すこと、そして日本人を幸せにすることである!」と述べました。



それから、わたしは「終活」について考えを述べました。
これまでの日本では「死」について考えることはタブーでした。でも、よく言われるように「死」を直視することによって「生」も輝きます。その意味では、自らの死を積極的にプランニングし、デザインしていく「終活」が盛んになるのは良いことだと思います。



ところが、その一方で、わたしには気になることもあります。「終活」という言葉には何か明るく前向きなイメージがありますが、わたしは「終活」ブームの背景には「迷惑」というキーワードがあるように思えてなりません。みんな、家族や隣人に迷惑をかけたくないというのです。「残された子どもに迷惑をかけたくないから、葬式は直葬でいい」「子孫に迷惑をかけたくないから、墓はつくらなくていい」「失業した。まったく収入がなく、生活費も尽きた。でも、親に迷惑をかけたくないから、たとえ孤独死しても親元には帰れない」「招待した人に迷惑をかけたくないから、結婚披露宴はやりません」「好意を抱いている人に迷惑をかけたくないから、交際を申し込むのはやめよう」・・・・・・。なんか変ではありませんか?


「迷惑」と「面倒」について


すべては、「迷惑」をかけたくないがために、人間関係がどんどん希薄化し、社会の無縁化が進んでいるように思えてなりません。結果的に夫婦間、親子間に「ほんとうの意味での話し合い」がなく、ご本人がお亡くなりになってから、さまざまなトラブルが発生して、かえって多大な迷惑を残された家族にかけてしまうことになります。その意味で「迷惑」の背景には「面倒」という本音も潜んでいるように思います。みんな、家族や夫婦や親子で話し合ったり、相手を説得することが面倒なのかもしれません。



「迷惑をかけたくない」という言葉に象徴される希薄な“つながり”。日本社会では“ひとりぼっち”で生きる人間が増え続けていることも事実です。しかし、いま「面倒なことは、なるべく避けたい」という安易な考えを容認する風潮があることも事実です。こうした社会情勢に影響を受けた「終活」には「無縁化」が背中合わせとなる危険性があることを十分に認識すべきです。この点に関しては、わたしたち1人ひとりが日々の生活の中で自省する必要もあります。


葬儀とは何だろうか?



葬儀は人類が長い時間をかけて大切に守ってきた精神文化である。いや、葬式は人類の存在基盤だと言ってもよい。昔、「覚醒剤やめますか、人間やめますか」というポスターの標語があったが、わたしは、「葬式やめますか、そして人類やめますか」と言いたい。日本人が本当に葬式をやらなくなったら、人類社会からドロップアウトしてしまう。あらゆる生命体は必ず死ぬ。もちろん人間も必ず死ぬ。親しい人や愛する人が亡くなることは悲しいことだ。でも決して不幸なことではない。残された者は、死を現実として受け止め、残された者同士で、新しい人間関係をつくっていかなければならない。葬式は故人の人となりを確認すると同時に、そのことに気がつく場になりえるのである。葬式は旅立つ側から考えれば、最高の自己実現であり、最大の自己表現の場ではないか。「葬式をしない」という選択は、その意味で自分を表現していないことになる。まったく、もったいない話だ。つまるところ、葬儀とは人生の卒業式であり、送別会だと思う。そう述べました。


「終活」のポイントを語る



わたしは、続いて誰でもが実行できる究極の「終活」についても話しました。
それは、ずばり、自分自身の理想の葬儀を具体的にイメージすることです。
親戚や友人のうち誰が参列してくれるのか。そのとき参列者は自分のことをどう語るのか。理想の葬儀を思い描けば、いま生きているときにすべきことが分かります。参列してほしい人とは日ごろから連絡を取り合い、付き合いのある人には感謝することです。生まれれば死ぬのが人生です。死は人生の総決算。葬儀の想像とは、死を直視して覚悟することです。覚悟してしまえば、生きている実感がわき、心も豊かになります。


「終活」から「修活」へ・・・・・・



わたしは、「終活」という言葉に対する違和感についても話しました。
終活の「終」の字が気に入らないという人は多いです。もともと「終活」という言葉は就職活動を意味する「就活」をもじったもので、「終末活動」の略語だとされています。ならば、わたしも「終末」という言葉には違和感を覚えてしまいます。死は終わりなどではなく、「命には続きがある」と信じているからです。そこで、わたしは「終末」の代わりに「修生」、「終活」の代わりに「修活」という言葉を提案しました。「修生」とは文字通り、「人生を修める」という意味です。よく考えれば、「就活」も「婚活」も広い意味での「修活」ではないか。
学生時代の自分を修めることが就活であり、独身時代の自分を修めることが婚活なのです。
そして、人生の集大成としての「修生活動」があります。
これから、いわゆる「団塊の世代」が修生活動をしなければなりません。


大切なメッセージを伝えました

最後は、なごやかムードで・・・



かつての日本は、たしかに美しい国でした。しかし、いまの日本人は「礼節」という美徳を置き去りし、人間の尊厳や栄辱の何たるかも忘れているように思えてなりません。
それは、戦後の日本人が「修業」「修養」「修身」「修学」という言葉で象徴される「修める」という覚悟を忘れてしまったからではないでしょうか。老いない人間、死なない人間はいません。死とは、人生を卒業することであり、葬儀とは「人生の卒業式」にほかなりません。老い支度、死に支度をして自らの人生を修める。この覚悟が人生をアートのように美しくするのではないでしょうか。冠婚葬祭互助会の会員様の多くは高齢者の方々です。
ならば、互助会とは巨大な「修活クラブ」であると言えるかもしれません。
ぜひ、多くの会員様が人生を修められるお手伝いをしたいものです。


懇親会で挨拶する佐久間会長

橋本常務の音頭でカンパイ!



社長訓話後は、サンレー本社から松柏園ホテルに移動して、懇親会が開催されました。
冒頭、佐久間進会長が挨拶しました。佐久間会長は「互助会募集は、わが社のお家芸。これから、わたし自らが営業の指導を行うので、よろしく!」と述べました。続くわたしは「みなさんの売っている商品は、堂々と胸を張れる立派なものです。社会を良くする商品を売っているのだから、ぜひ自信と誇りを持っていただきたい」と述べました。
それから、サンレー北九州の橋本常務の音頭で声高らかに乾杯しました。


末広がりの五本締め



懇親会の最後は、サンレー北陸の畑中部長が中締めの挨拶をしました。
畑中部長は、「これからも予算達成をめざして大いに頑張りましょう!」と言い、「末広がりの五本締め」を行いました。すると、不思議なパワーが体の底から湧いてきました。
やはり、カタチにはチカラがあります! 
いま、冠婚葬祭互助会業界は大きな過渡期にあります。しかし、わたしたちは「人間尊重」をミッションとする礼業の会社として、正々堂々と胸を張って冠婚葬祭互助会の営業を行っていきたいものです。そして、互助会の会員さんが幸せになるためのお手伝いができるように、つねにアップデートを心がけ、アップグレードを目指したいと思います。
懇親会場の「長浜」を出ると、忘年会シーズン真っ盛り!
松柏園ホテルは大いに賑わっていました。


星降る松柏園ホテルで・・・・・・



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2014年12月8日 佐久間庸和