ミャンマーの感動体験

25日、サンレーグループ報「Ray!」11月号が発行されます。
リアルタイムで、わたしの最新メッセージをお伝えします。
タイトルは、「ミャンマーでの感動体験 『人間尊重』は世界共通だ!」です。


「Ray!」2014年11月号



ミャンマー・ミッション
先月、ミャンマーに行ってきました。わたしは互助会保証が主宰する「アジア冠婚葬祭業国際交流研究会」の副座長を務めていますが、そのミッションとして行きました。
ミャンマー滞在の最終日、わたしたち一行は「FFSS(フリー・フューネラル・サービス・ソサエティ)」というNPO団体を訪問しました。この団体は、今は亡きミャンマー映画界を代表する監督であるウーツーカー氏が創設しました。現在は、1959年生まれのチョートゥー氏が代表を務めています。チョートゥー氏は政治活動家ですが、もともとは俳優であり、アーティストであり、映画のディレクターでもあります。俳優としてはミャンマー映画界の最大のスターの1人だった人で、なんと2回もアカデミー賞を受賞しています。この団体、日本で例えるなら黒澤明が創設して、役所広司が代表を務めているといったイメージでしょうか。



●葬儀の無料サービス
チョートゥー氏は、ミャンマーにおける超有名人です。そして、その知名度を武器に、2000年代からは貧困を助ける活動をずっと続けています。災害支援、環境、医療、教育・・・・・・その活動は多岐にわたりますが、最も代表的な活動が貧しい人々に無料で葬儀サービスを提供することです。2001年から2012年の間に、FFSSは12万件以上もの葬儀を無料で行いました。現在も1日40件以上の葬儀を施行しているといいます。
チョートゥー代表には、「アウンサンスーチー女史に続き、ミャンマー人として2人目のノーベル平和賞受賞者になるのではないか」という声が多いそうです。
ミャンマー人はよく奉仕・寄付し、助け合いの心がとても強い国民ですが、そのシンボル的存在がFFSSなのかもしれません。



●広がるFFSSの活動
チョートゥー氏は、葬儀サービスに続いて、2003年には、チャリティクリニックをFFSSとして立ち上げました。これは、有志の医者や医療のスペシャリスト、軍医とともに、無料でヘルスケアサービスを提供するクリニックだそうです。こちらでも14万人以上もの患者を無料で診察したとか。その他にも、無料図書館、無料の教育、無料の職業訓練が受けられる学校をFFSSで運営しています。ミャンマーには義務教育が存在しないのですが、このFFSSの学校は、3000万円くらいで作られたそうです。さらに、FFSSは被災地で緊急救援・救助を行ったりもしています。2008年のミャンマーの破壊的なサイクロンの時も、チョートゥー氏自らが救助活動し、救援の他、多額の資金援助も行ったそうです。



ミャンマーの黄金霊柩車
FSSの本部を訪れて、非常に驚いた出来事がありました。
スタッフの女性から「日本の霊柩車が大活躍してるんですよ。外に置いてありますので、見られませんか?」と言われ、黄金の霊柩車を見に行ったときです。
その車には、なんと「紫雲閣」のプレートが残されていました!
ミャンマーにはバスをはじめとして日本の中古車がたくさん走っていますが、それらの車には「豊橋交通」とか「九州産交」といったプレートがそのまま残されています。そして、わが社がかつて使用していた車が、このミャンマーNPO団体で活躍していたのです。
有名なシュエダゴン・パゴダの「黄金の洪水」を見てもわかるように、ミャンマーの人は何よりも黄金色を好みます。なぜなら、それは仏教における天上界の色だからです。そして、はるばる日本の「紫雲閣」から海を越えてやって来た霊柩車も光輝く黄金色でした。



●不思議な縁の謎が解けた
スタッフの女性の説明によれば、「この霊柩車が、パゴダと同じ黄金だということで、大変な人気です。ミャンマーの人々は、この車で送られれば幸せな来世が迎えられると信じています」と言われました。わたしは、それを聞いて非常に感動しました。
黄金の霊柩車は、いわゆる「黄金龍」と呼ばれるタイプです。この日見た車は、車上にあるはずの龍の彫刻はありませんでしたが、かつては黄金の龍が日本を駆けめぐっていたのです。しかし、時代の流れとともに黄金龍はすっかり姿を消してしまいました。ところが、「アジア最後のフロンティア」とされるミャンマーの人々の最期のセレモニーに彩りを添えていたとは・・・・・・それにしても、なんという縁でしょうか! 
わたしは、わが社と世界平和パゴダとの不思議な縁の謎が解けたように思いました。



●「人間尊重」は世界共通だ!
ミャンマー仏教は、上座仏教です。日本の大乗仏教と違って、葬儀を重視しません。しかし、人間は「葬儀するヒト」としてのホモ・フューネラルです。葬儀という営みは、宗教の違いを超越した行為だと思います。愛する人が亡くなったらどうしても弔いたいというのは、人間の自然な感情ではないでしょうか。上座仏教の国であるミャンマーで、あらゆる人々に平等に葬儀を行う団体が注目を浴びているのは、その証拠でしょう。
わたしは、FFSSに互助会の原点を見ました。チョートゥー代表には、『ロマンティック・デス』を読んで宇宙葬ビジネスを始めた。エリジウム・スペース社のトーマス・シベ(Thomas Civeit)CEOです。CEOとの出会いに近い「宿命」のような深い縁(えにし)を感じます。トーマスCEOと会えたように、わたしはいつか必ずチョートゥー代表に会う気がしてなりません。アメリカ、ミャンマー、そして日本・・・・・・「人間尊重」は世界共通のミッションです。



南方の仏の国で出合ひたる
   金の車は陽光(サンレー)の色  庸軒


黄金の霊柩車と感動の再会



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2014年11月25日 佐久間庸和