長崎原爆の日

8月9日は、「長崎原爆の日」です。
わたしにとって、1年でも最も重要な日です。
わたしは小倉に生まれ、今も小倉に住んでいます。
小倉とは何か。それは、世界史上最も奇跡的な街です。なぜなら、広島に続いて長崎に落とされた原爆は、本当は小倉に落とされるはずだったからです。


「毎日」「朝日」「読売」「西日本」新聞8月9日朝刊広告



今朝、新聞各紙にわが社の意見広告が掲載されました。
「長崎原爆の日」にあわせた「鎮魂」の広告です。
毎年、サンレー本社の朝礼ではわたしが小倉原爆についての話をします。
その後、社員全員で長崎原爆の犠牲者に対して黙祷を捧げるのです。
しかし、今日は会社が休みだったので、わたしは自宅の書斎で黙祷しました。


社員旅行で訪れた長崎平和公園にて



69年前、原爆が予定通りに小倉に投下されていたら、どうなっていたか。
広島の原爆では、約14万人の方々が亡くなられています。
当時の小倉・八幡の北九州都市圏(人口約80万人)は広島・呉都市圏よりも人口が密集していたために、広島以上の大虐殺が行われたであろうとも言われています。


当時、わたしの母は小倉の中心部に住んでいました。よって原爆が投下された場合は確実に母の生命はなく、当然ながらわたしはこの世に生を受けていなかったのです。
死んだはずの人間が生きているように行動することを「幽霊現象」といいます。
考えてみれば、小倉の住人はみな幽霊のようなものです。
そう、小倉とは幽霊都市にほかならないのです! 


毎日新聞」7月26日朝刊



それにしても数万人レベルの大虐殺に遭う運命を実行当日に免れたなどという話は古今東西聞いたことがありません。普通なら、少々モヤがかかっていようが命令通りに投下するはずです。当日になっての目標変更はずっと大きな謎でした。
ブログ『原爆投下は予告されていた』で紹介した本を読み、ようやく納得しました。
そして、ブログ「小倉原爆取材」で紹介した毎日新聞社の取材を経て、ブログ「小倉原爆スクープ!」で紹介した新聞記事が世に出ました。それを受けて、わたしはブログ「小倉に落ちるはずの原爆」というコラムを昨日、「毎日新聞」紙上で発表しました。


毎日新聞」8月8日朝刊



いずれにせよ小倉がアウシュビッツと並ぶ人類愚行のシンボルにならなかったのは奇跡と言えるでしょう。1日で運命が変わった小倉のような街は世界中どこをさがしても見当たりません。その地に本社を構えるわが社のミッションとは、死者の存在を生者に決して忘れさせないお手伝いをすることだと、わたしは確信しています。
小倉の人々は、原爆で亡くなられた長崎の方々を絶対に忘れてはなりません。
いつも長崎の犠牲者の「死者のまなざし」を感じて生きる義務があります。
しかし、悲しいことにその事実を知らない小倉の人々も多く存在します。



そこで長崎原爆記念日にあわせて、わが社では毎年、「昭和20年8月9日 小倉に落ちるはずだった原爆。」というキャッチコピーで「毎日」「朝日」「読売」「西日本」の各紙に広告を掲載しています。ようやく北九州でも歴史上の事実が知れわたってきました。
特に今年は、くだんの「毎日新聞」のスクープ記事もあって、世間の関心は高かったと思います。今朝、黙祷の後で、わたしは以下の3つの歌を詠みました。



なぜ生まれ なぜここにいる 忘るるな 
    小倉に落つるはずの原爆(庸軒)



晴れの日を曇りに変へる煙幕は
     われに命を与へし奇跡(庸軒)



長崎の空に向かひて手を合はす
    小倉に落つるはずの原爆(庸軒)



新聞広告には満月のイラストをバックに「鎮魂」と大きく書かれ、「昭和20年8月9日−−小倉に落ちるはずだった原爆。」と続きます。
そして「平和への願いを込めて、長崎に祈りを。」として、次のように書かれています。
「それは69年前のこと。昭和20年8月9日、長崎に第2の原子爆弾が投下されました。広島に人類最初の爆弾が落とされた3日後のことです。
長崎型原爆・ファットマンは8月6日にテニアン島で組み立てられました。そして、8月8日にアメリカ陸軍在グアム第20航空軍司令部野戦命令17号において、小倉を第1目標に、長崎を第2目標にして、8月9日に投下する指令がなされました。8月9日に、ソ連が日本に宣戦布告。この日の小倉上空は前日の八幡爆撃による煙やモヤがたち込めていたため投下を断念。第2目標であった長崎に、同日の午前11時2分、原爆が投下されました。
小倉の軍需工場が爆弾投下の第1目標であったことを、皆さんはご存知でしたか。長崎ではこの原爆によって74000人もの尊い生命が奪われ75000人にも及ぶ人々が傷つき、現在でも多くの被爆者の方々が苦しんでいます。もし、この原爆が小倉に投下されていたら、あなたの家族や知りあいの方々が命を失い、あるいは大きな痛手を受けたことでしょう。もしかすると、この文章を読んでいるあなたは、この世に存在していなかったかもしれません。
絶対に戦争の悲惨さを風化させないためにも、私共は原爆の犠牲になられた方々へのご冥福を祈るとともに、恒久平和への祈りを捧げていきたいと思います。
古来、世界各地で月はあの世に見立てられていました。夜空に浮ぶ月を見上げて手を合わせ、亡くなられた方々を想ってみてはいかがでしょうか。
私たちは、「人間の尊厳」を見つめながら、全国各地で真心を込めて、鎮魂と慰 霊のお手伝いをさせていただきたいと願っております。
株式会社サンレー 代表取締役社長 佐久間庸和


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また、以下の書籍プレゼントの案内をしました。
決定版 冠婚葬祭入門
一条真也著 定価:800円(税別)実業之日本社



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サンレー決定版 冠婚葬祭入門』進呈係
2014年8月20日(水)消印有効


また、以下のセレモニーの案内も併せて行いました。
月を見上げれば、あの人に会える。
月への送魂」御霊をレーザー(霊座)の光にのせて、月へ送るセレモニー。
平成26年10月7日(火)18:00〜(予定)
会場 サンレーグランドホテル
北九州市八幡西区大膳1丁目2番1号 TEL093−601−1000



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2014年8月9日 佐久間庸和