「エンディング・ノート」公演パンフレット

ブログ「終活〜今を生きる」でご紹介したように、先週の日曜日、劇団青春座主催の「終活」をテーマとした講演会で講師を務めました。青春座さんは北九州を代表する名門劇団ですが、今月17日(土)、18日(日)に「エンディング・ノート」という演劇を上演されます。そのコラボ企画として、わたしの講演会が企画されたのです。



「エンディング・ノート」は、第52回北九州芸術祭参加作品で、劇団青春座222回公演となっています。本日、その公演パンフレットが届きました。
パンフレットを開くと、青春座の井生定巳代表の「ご挨拶」にはじまり、北九州市北橋健治市長の「祝辞」、脚本家の橋本和子氏の「モラトリアム」と続きます。



それから、スタッフおよびキャストの顔ぶれが紹介されていますが、古田美佐代さん、小川さち子さんというサンレーに勤務する二大女優も登場しています。
なお、古田さんは衣装担当スタッフとしても紹介されています。
続いて、「『エンディング・ノート』ってなに?」というページが出てきます。
ここでは、わたしが井生代表のインタビューに対して、以下のように答えています。



冠婚葬祭のパイオニア・株式会社サンレー代表取締役社長佐久間庸和氏に終活についてお聞きしました。氏は「一条真也」のペンネームで作家としても活躍中です。その独特の世界観は多くの読者の共感を得ています。
インタビュー 劇団青春座 井生定巳



(Q)今回の公演名は「エンディング・ノート」ですが、いま「終活」がブームになってきています。この現象については、どのようにお考えですか。
(A)「終活」というと何か明るく前向きなイメージがありますが、私は「終活」の背景には「迷惑」というキーワードがあるように思えてなりません。
みんな、家族や隣人に迷惑をかけたくないというのです。
「残された子どもに迷惑をかけたくないから、葬式は直葬でいい」「子孫に迷惑をかけたくないから、墓はつくらなくていい」といった話を聞きます。「迷惑」をかけたくないがために、人間関係がどんどん希薄化し、社会の無縁化が進んでいるように思えてなりません。結果的に夫婦間、親子間に「ほんとうの意味での話し合い」がなく、ご本人がお亡くなりになってから、さまざまなトラブルが発生して、かえって多大な迷惑を残された家族にかけてしまうことになります。そもそも、家族とはお互いに迷惑をかけ合うものではないでしょうか。子どもが親の葬式をあげ、子孫が先祖の墓を守る。当たり前ではないですか。
そもそも“つながり”や“縁”というものは、互いに迷惑をかけ合い、それを許し合うものだったはずです。「迷惑をかけたくない」という言葉に象徴される希薄な“つながり”。日本社会では“ひとりぼっち”で生きる人間が増え続けていることも事実なのです。しかし、いま「面倒なことは、なるべく避けたい」という安易な考えを容認する風潮があることも事実です。こうした社会情勢に影響を受けた「終活」には、「無縁化」が背中合わせとなる危険性があることを十分に認識すべきです。この点に関しては、私たち一人ひとりが日々の生活の中で自省する必要もあります。



(Q)エンディング・ノートは自分の死を前提とするものですが、佐久間社長は常々、「葬儀は人生の卒業式」と表現されておられます。そのお考えをお聞かせいただけますか。
(A)私は、人の死を「不幸」と表現しているうちは、日本人は幸福になれないと思います。
私たちは、みな、必ず死にます。死なない人間はいません。
いわば、私たちは「死」を未来として生きているわけです。その未来が「不幸」であるということは、必ず敗北が待っている負け戦に出ていくようなものです。
私たちの人生とは、最初から負け戦なのでしょうか。
どんな素晴らしい生き方をしても、どんなに幸福を感じながら生きても、最期には不幸になるのでしょうか。亡くなった人は「負け組」で、生き残った人たちは「勝ち組」なのでしょうか。そんな馬鹿な話はないと思いませんか?
私は、「死」を「不幸」とは絶対に呼びたくありません。なぜなら、そう呼んだ瞬間、私たちは将来かならず不幸になるからです。死は不幸な出来事ではありません。そして、葬儀は人生の卒業式です。これからも、本当の意味で日本人が幸福になれる「人生の卒業式」のお手伝いを紫雲閣ではさせていただきたいと考えています。



(Q)佐久間社長は多くの著書をお書きになっておられますが、『思い出ノート』と題するエンディング・ノートが好評だと伺いましたが、エンディング・ノートについてのお考えをお聞かせください。
(A)『思い出ノート』(現代書林)は平成21年に監修して刊行したものです。おかげさまで非常に好評で、版を重ねています。
高齢化社会を迎えて、エンディング・ノートはますますその必要性を増しています。
エンディング・ノートの目的の1つは、「残された人たちが迷わないため」というものです。どんな葬儀にしてほしいかということはもちろん、病気の告知や延命治療といった問題も書き込むことができます。「お父さんはどうしてほしいのか」「お母さんの希望は何?」。
たとえ子供であって、なかなか相手の意思というのはわかりません。
本人も迷うでしょうが、そばにいる家族や知人はもっと迷い、悩んでいます。そんなときにエンディング・ノートに意志が書かれていれば、どれだけ救われるかわかりません。
葬儀にしても「あの人らしい葬式をしてあげたい」と思う気持ちが、エンディング・ノートに希望を書いてもらえているだけで実現できます。
たしかに自分の死について書くことは勇気のいることです。でも、自分の希望を書いているのですが、じつは残された人のためだと思えば、勇気がわくのではないでしょうか。
またエンディング・ノートには、もう1つ大きな役割があります。
それは、自分が生きてきた道を振り返る作業でもあることです。
いま、自分史を残すことが流行のようですが、エンディング・ノートはその機能も果たしてくれます。 気に入った写真を残す、楽しかった旅の思い出を書く、そんなことで十分です。 そして最後に、愛する人へのメッセージを書き添える。残された人たちは、あなたのその言葉できっと救われ、あなたを失った悲しみにも耐えていけるのではないでしょうか。


思い出ノート ([バラエティ])

思い出ノート ([バラエティ])

最後に「佐久間社長、ありがとうございました。今回の公演をご覧いただいた皆さんが、このインタビューも読んでいただくことで、実際にエンディング・ノートを書いていただきたいですね」という井生代表の言葉でインタビューは締め括られています。



パンフレットの裏表紙には、わが社の広告を出させていただきました。
「冠婚葬祭を通じて良い人間関係づくりのお手伝いをさせて頂き、ハートフル社会の実現を目指します」というコピーで、松柏園ホテル紫雲閣隣人館などが紹介されています。
青春座さんは演劇を通じて、わが社は冠婚葬祭や介護を通じて、ともに心ゆたかな社会を目指しています。今回、「エンディング・ノート」という素晴らしいお芝居を上演するにあたって特別協力をさせていただき、本当に良かったと思っています。
なお、このパンフレットは17日、18日の公演会場で配布されます。




*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2014年5月2日 佐久間庸和