『北九州の底ぢから』

11日の「建国記念の日」、わたしは日本という国の初期設定について考えていました。
また、『北九州の底ぢから』(石風社)という本が送られてきたので、それをパラパラ読んで過ごしました。「[現場力]が海図なき明日を拓く」というサブタイトルがついています。
じつに620ページという大著で、まさに「北九州経済事典」の名にふさわしい堂々たる造本です。実際、帯の背には「グローバル企業からニッチ企業まで、北九州の経済・産業・技術・人物がわかる《北九州経済事典》」と書かれています。


刊行された『北九州の底ぢから



帯の正面には「公害・鉄冷えの街から世界環境首都へ」と大書され、続いて「北九州には、混迷する時代を生き抜くための知恵とヒントと〈底ぢから〉がある」「◎経済人へのインタビュー100」「北九州という情に厚く、人間臭い町で、モノづくりを原点とする経済活動を担ってきた経営人にその要諦と本音を聞く――」と書かれています。
著者は、長妻 靖彦氏。1936年名古屋市生まれ。59年京都大学文学部(西洋史学科)卒、毎日新聞社に入社され、編集委員などを務められました。毎日新聞社退職後は九州国際大学九州産業大学の教壇にも立たれています。2001年から北九州都市協会(後に北九州市芸術文化振興財団)発行の月刊誌「ひろば北九州」で13年まで経済人インタビューを長期連載されました。わたしも2回にわたって、長妻氏からのインタビューを受けています。本書にも、わたしのインタビュー記事が6ページにわたって「無縁社会をハートフル有縁社会へ」のタイトルで掲載されています。「会社は社会のためにあり、従業員は最大の資産」「禍転じて福となす」というわが信条も紹介されています。





2013年3月に終刊を迎えた月刊誌「ひろば北九州」では、2001年4月から2013年2月の12年間、北九州地区の主要企業、中堅企業、ベンチャー企業から主要経済団体のトップなど延べ128人が登場、経営戦略、ビジョン、地域経済の活性化作、経営哲学、信条、趣味などが語られました。これらのインタビューは、次の50年の新たな成長軌道へのスタートラインに着く北九州経済の現状と課題も総括し、次世代への教訓に満ちた貴重な証言となっています。今回の出版にあたっては、重複などを除いた100人のインタビューを産業別に再編するとともに、新たに北橋健治市長、末吉興一前市長、利島康司北九州商工会議所会頭へのインタビューも追加、さらに北九州経済の概要、年表なども加えられています。
資料的にも非常に充実しており、会社でも個人でも1冊備えておけば何かと便利でしょう。


第4部「流通・サービス産業の新成長」



本書の目次構成ですが、以下の通りです。
「はじめに」
序論   日本再生 北九州からの挑戦
第1部  グローカル時代の地域振興
第2部  モノづくり産業の進化
第3部  新たな産業の台頭
第4部  流通・サービス産業の新成長
第5部  地域経済活性化へ連携
第6部  岐路に立つ北九州経済 インタビューを終えて
◎ 信条・座右の銘
北九州年表(1963〜2013年)
「あとがき」




さて、わたしは「サンレー社長」として登場していますが、佐久間進会長は日本観光旅館連盟会長(当時)として登場、「塀のないテーマパーク北九州を」のタイトルでインタビューに答えています。「最高の満足、最適の利益」「対話こそ人生」という、佐久間会長の信条も紹介されています。100人という限定の中で、親子で登場させていただき、誠に光栄です。 


620ページの堂々たる「北九州経済事典」!



「日本の現場」であり、「日本の未来」といわれる北九州地域の課題は、日本の課題です。
本書の刊行により、北九州の経済、産業、技術の全体像と潜在力が明らかとなりました。
地域と産業界が地元経済の浮揚にいかに取り組んできたか、今後どう展開しようとしているのかがよく理解できます。地域経済、ひいては日本経済のあり方への関心が高まるでしょう。
最後に、帯にある「世界環境首都へ」もいいですが、わたしならば「世界高齢者首都へ」にしたかったところです。北九州で働く、北九州で生きる、そして北九州を愛するすべての人に本書をおススメします。定価3500円はけっして高くありません。



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2014年2月12日 佐久間庸和