素敵なサービス業

今日の「毎日新聞」朝刊に第16回目の「北九州発 ハートフル通信」が掲載されました。
今回のタイトルは「素敵なサービス業」です。



毎日新聞」12月13日朝刊



いよいよ新たな就職戦線がスタートしました。
先日、わたしは北九州市立大学で就職活動を直前に控えた大学3年生たちを対象に講演を行いました。主催は北九州市立大学キャリアセンターで、「地元企業経営者から学ぶ〜サービス業の魅力と経営者が求める人材〜」という依頼でした。
わたしは「サービス業ほど素敵な仕事はない!〜大いなる『おもてなし』の時代へ〜」という演題で話しました。北九大では、2005年末にも講演しています。



アベノミクス効果のせいか就職状況が好調だとか。
大変結構なことですが、そのわりにサービス業の人気が低いとされています。
面接では「わたしは人間が好きなので、ぜひサービス業に就きたいです」とか「学生時代に接客業のアルバイトをしていて、その魅力に取りつかれました」などと言うのですが、サービス業以外の大手企業の内定を受けると、舌の根も乾かないうちにそちらに乗り換える学生さんが確かに存在します。



サービス業が選ばれない理由としては、まず「休みが不規則」などが思い浮かびます。
しかし、最大の理由は他にあることがわかってきました。
すなわち、製造業のように「仕事が形に残らないので不安」というのです。
たしかに、サービス業は目に見えない形なきものを売る仕事ですね。



わたしの愛読書のひとつに、フランスの作家サン=テグジュぺリの名作『星の王子さま』がある。この本に一貫して流れているテーマは、「本当に大切なものは目に見えない」というものだ。まさに、サービス業の価値はここにあります。
思いやり、感謝、感動、癒し、夢、希望など、この世には目には見えないけれども存在する大切なものがたくさんある。逆に本当に大切なものは目に見えません。そして、その本当に大切なものを売る仕事がサービス業なのです。



製造業はモノを残す仕事。建設業は地図に残る仕事。ならば、サービス業とは心に残る仕事にほかなりません。愛用している自動車やスマホ、またビルや橋を見ても、それに関わった人たちの顔は浮かんでこない。でも、サービス業は違います。
サービス業とは、サービスしてくれた人の顔が浮かんでくる仕事である。お客様の心に自分の顔が浮かんでくる仕事、こんな贅沢なことはないと思ってしまいます。



企業の真の宝は施設ではなく、人です。特に、わが社のようなホスピタリティ・カンパニーは人がすべて。わたしの講演を聴いてくれた学生さんの中から、サービス業の素晴らしさ、面白さに気づいてくれる人が1人でも多く出てくれると大変うれしいですね。



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2013年12月13日 佐久間庸和