『婚礼の品格』


わたしは、これまで多くのブックレットを刊行してきました。
それらの一覧は一条真也オフィシャル・サイト「ハートフルムーン」の「佐久間庸和著書」で見ることができます。整理をかねて、これまでのブックレットを振り返りたいと思います。


『婚礼の品格〜神前結婚式のすすめ』(2007年4月刊行)



今回は、『婚礼の品格〜神前結婚式のすすめ』をご紹介します。
日本人にとっての結婚式について考え抜いた内容です。当時は、『国家の品格』とか『女性の品格』などの本が大ベストセラーになっており、「品格」という言葉が時代のキーワードになっていました。2007年4月に刊行したブックレットですが、目次は以下の通りです。



●神前結婚式を見直す
●神前結婚式の登場
●離婚しにくい神前式
●結婚式場は夫婦工房
●神前式の秘密
神道という平和宗
●ニッポン人には「和」が似合う


ニッポン人には「和」が似合う!



神前結婚式には、知られざる秘密があるのをご存知ですか?
神前式に対して「古くさい」「窮屈だ」「ダサい」といったようなネガティブ・イメージを抱く若い人も多いようです。でも、そんな人たちにも神前式の意外な一面を知っていただき、神前式を見直してほしいと思うのです。わたしは、神前式の伝統性を重視し、日本で昔から行われてきた儀式だから見直せと言っているのではありません。第一、今の神前式のスタイルは決して伝統的ではなく、その起こりは意外に新しいのです。それどころか、キリスト教式、仏式、人前式などの結婚式のスタイルの中で一番歴史の新しいのが神前式なのです。



もちろん古くから、日本人は神道の結婚式を行ってきました。でもそれは、家を守る神の前で、新郎と新婦がともに生きることを誓い、その後で神々を家に迎えて家族、親戚や近隣の住民と一緒にごちそうを食べて2人を祝福するものだったのです。
神前式の歴史はたかだか100年にすぎず、それもキリスト教式の導入がきっかけという、いわば外圧によって生まれたものであり、伝統などとはまったく無縁なのです。神前式の秘密は、そんなところにあるのではありません。


じつは、わたしは当社の結婚式場で挙式されたカップルの追跡調査を行ったことがあります。わが社では、神前式をはじめ教会式、人前式とあらゆるスタイルの結婚式を提供していますが、調査の結果、興味深いデータが目にとまりました。なぜか神前式をあげたカップルの離婚率が、その他のスタイルに比べて、とても低いのです。
「神前式だと離婚しにくいのか?」という疑問を抱いた私は、他の結婚式場やホテルの経営者にもたずねてみましたが、答えは同じでした。
やはり、どこでも神前式を行ったカップルの離婚率は低いのです。
なぜ神前式のカップルは離婚しにくいのでしょうか。神道の呪術性のせいかとも思いましたが、むしろキリスト教式や人前式の方が呪術的要素が強いという見方もあります。長らく、このことは私にとって謎でしたが、近頃「あっ、もしかして?」と思ったことがあります。



少し前に脳に関する本がブームになりましたが、その中に『海馬』(朝日出版社)という本があります。脳をテーマにした、脳生理学者の池谷裕二氏とコピーライターの糸井重里氏の対談本ですが、これが非常に面白い。この本を読んでいて、私は「はっ!」としました。池谷氏が、何かを脳にインプットする場合、手を動かすことがいかに重要かを語っているのです。
手を動かすことが、いかにたくさん脳を使うことにつながっているかを力説し、大脳全体と手の細胞とが非常にリンクしていることを池谷氏は次のように解説します。
「指をたくさん使えば使うほど、指先の豊富な神経細胞と脳が連動して、脳の神経細胞もたくさんはたらかせる結果になる。指や舌を動かしながら何かをやるほうが、考えが進んだり憶えやすくなったり、ということです。英単語を憶える時でも、目で見るよりも書いたりしゃべったりしたほうが、よく憶えられるということは、誰もが経験のあることでしょう」



そうすると、あの神前式における数々の面倒な手の動きの謎が解けます。特に三三九度の盃を交互に飲み干す「三献の儀」の動きなど複雑きわまりないですが、三三九度も玉串奉奠も柏手も、すべて何かを脳にインプットするための動作なのではないか。
その「何か」とはもちろん、「自分たちは結婚した」というメッセージです。これを神前式では、面倒で複雑な手の動きを通して何度も何度も「結婚した」という情報を脳に入力していく。最後に、もう一つの脳といわれている手の平を柏手でパァーンと刺激を与えて、入力作業のダメ押しをする。結婚への覚悟を新郎新婦の脳に注入する。これが、神前式が離婚者を生みにくい理由の1つであるような気がします。指輪の交換なども、脳への入力作業といえます。


わが社は同業他社に比べて、業界では和装を多く仕入れる冠婚葬祭会社とされています。
最近の結婚式場はチャペルのみで神殿のない施設が多いですが、わが社が所有するすべての結婚式場やホテルには神殿が備えられています。
たしかに、現在のブライダル・シーンはウエディングドレスが主流です。
和装の人気はどんどん下がっており、ドレスしか着ない新婦さんが増えてきました。
わたしは、とてももったいないことだと思います。
なぜなら、日本人の女性は和装が一番似合って、一番美しく見えるからです。



肌の色や体型に合わせて、日本の女性を最も美しく見せるようにデザインされたものが和装なのです。それを、フランス人やイタリア人やアメリカ人のモデルを使った写真を見て自分が日本人であることを忘れ、一生に一度の結婚式にドレスしか着ないというのは、どう考えてももったいない話です。後から後悔しても遅いのです。
これから結婚式をされる新婦さんは、ぜひ、「和装がいいか、悪いか」と悩むのは後回しにして、写真の前撮りのときだけでも和装を着られることをお薦めします。



グローバル化の時代は同時にまたローカル化の時代です。一方で世界共通のスタイルが生み出されるのと同時に、それぞれの地域や場所が、その独自の個性を育てます。
世界の社会学者たちは、これを「グローカリズムの時代」と表現しています。
まさにグローカリズムの時代では、和装を着ることがスタイリッシュになるのです。
なんといっても、和装は日本人の民族衣装です。
結婚式のとき、韓国の人たちはチョゴリを着ますし、インドの人たちはサリーを着ます。
その他、タイ、ハンガリーウクライナチェコスロバキア、そしてイスラム教圏・・・・・。
世界中の人々が自分たちの民族衣装を身にまとい、結婚式にのぞみます。



日本の結婚式には、やはり和装がないと物足りません。新婦だけではありません。新郎の和装姿はりりしい「侍」を連想させ、男ぶりを大いに上げます。悪いことは言いませんから、ぜひ結婚式をされる方は和装を着て下さい。ニッポン人には「和」が似合うのです!
特に、今年は伊勢神宮の20年ぶりの式年遷宮出雲大社の60年ぶりの大遷宮が重なるという記念すべき年で、日本人の「こころ」の大きな柱である神道がブームになりました。
神前結婚式も大いに見直されています。これから、和装を着た美しい日本の花嫁がたくさん誕生することを願っています。



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2013年11月27日 佐久間庸和