何によって人に憶えられたいか
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、経営学者ピーター・ドラッカーの著書に出てくる言葉です。
ドラッカーは「自己実現」の大切さを強調してきました。
そして、そのための「自己刷新」や「自己啓発」の大切さを説きました。わたしは、よく講演などで若いビジネスピープルに「自己刷新」という考え方を伝えています。
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ドラッカーによれば、人間は何をもって後世の人々に記憶されたいかを常に自問しなければなりません。彼は、著書『非営利組織の経営』に次のように書いています。
「私が13歳のとき、宗教の先生が生徒1人ひとりに『何によって人に憶えられたいかね』と聞いた。誰も答えられなかった。先生は笑いながらこう言った。『いま答えられるとは思わない。でも、50歳になって答えられないと問題だよ。人生を無駄に過ごしたことになるからね』」(上田惇生訳)
ドラッカーは、いつもこの問いを自らに問いかけてきたといいます。
これは自己刷新を促す問いです。自分自身をこれまでとは違う人間として見る問いです。
しかし、まったく不可能な夢を追うものではありません。
20歳を過ぎて、これまでほとんどスポーツをやったことのない人が「これから頑張って、オリンピックで金メダルを取る」とか、これまで文章も書いたことのない人が「これから小説を書いて、いきなり芥川賞を狙う」と考えたとします。もちろん、これらの夢はまったく不可能だとは言い切れません。常識を超えるようなドリーム・ストーリーもあるかもしれません。しかし、一般的に考えて、これらは非常に実現性の低い、限りなく可能性がゼロに近い夢であることも事実です。あくまでも、なりうる人間になるように仕向けてくれる問いが必要なのです。
何によって人に憶えられたいか。若い頃に誰かにそう問いかけられた人は運のよい人です。
そして、その問いを自らに問いかけ続けていけば、自然と人生が実りあるものになるとドラッカーは述べています。あなたは、何によって憶えられたいですか。
やり手の営業スタッフでしょうか。
凄腕のマーケッターでしょうか。
優秀な経理スタッフでしょうか。
はたまた、多くのお客様から愛される接客スタッフでしょうか。
その職種や内容は関係ありません。何でもいいのです。大切なのは、あなたが何をめざし、その目標に向かって自己刷新の努力を続けてゆくことなのです。
なお、今回のドラッカーの名言は、『最短で一流のビジネスマンになる! ドラッカー思考』(フォレスト出版)にも登場します。
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2013年9月3日 佐久間庸和拝