中村天風(5)


太陽の光線は、
美人の顔も照らせば、
犬の糞も照らしている




言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、異色の哲学者・中村天風の言葉です。「太陽の光線は、美人の顔も照らせば、犬の糞も照らしている」とは強烈なインパクトのある言葉ですね。特に「犬の糞」が!
天風は多くの名言を残していますが、これはわたしの最も好きな言葉です。

盛大な人生

盛大な人生


天風が言いたいのは、「太陽は万物にとって平等である」ということですね。
そう、太陽はあらゆる地上の存在に対して平等です。
太陽光線は美人の顔にも降り注げば、犬の糞をも照らすのです。
わが社の社名は「サンレー」ですが、万人に対して平等に冠婚葬祭を提供させていただきたいという願いを込めて、太陽光線(SUNRAY)という意味を持っています。



太陽といえば、サンレーグループ佐久間進会長の人生とは、太陽の追求の連続でした。
千葉県の房総半島に生を受けた会長は、少年期、太平洋に面した鴨川市の沖に浮かぶ仁右衛門島から昇る荘厳な日の出に心の底から魅せられたそうです。
その島がかの日蓮上人の修行の地と知りました。 若き日の日蓮は島によく渡っては、洞窟の中に座って朝の光を浴びながら修行したといわれます。 日蓮は我が佐久間一族の祖先とも浅からぬ縁があるようですが、1253年に清澄山頂で、大海原から昇る朝日に向かって、初めて「南無妙法蓮華経」と唱えたといいます。 その日蓮の同郷人として大いに影響を受けた佐久間会長の心は自然と太陽を追い求めるようになったのです。


佐久間会長の一代記『太陽を追う男』



その後、佐久間会長は創業した会社の社名を「太陽の光」を意味する「サンレー」とし、国内で日照時間が一番長い宮崎、逆に一番短く最も太陽を求めている金沢、そしてまさに太陽の国・沖縄など太陽に関連する土地に次々に進出し、人々の心を明るく照らすべくチャレンジしてきました。 佐久間会長は、「私の生涯は太陽、それも美しい日の出を追い求めていたような気がする。石垣島の日の出は世界一だと思うし、九州では門司の青浜から見る日の出が素晴らしい」と、語っています。 わが社は「太陽を追う男」が創業した、いわば「太陽を追う会社」なのです。 2004年には「スポーツ報知」に「現代の求道者」という佐久間会長の一代記が連載され、また単行本にもなりました。 その後、『太陽を追う男』の単行本がスポーツ報知社から出版されました。



さて、太陽といえば、名言ブログ「ラ・ロシュフーコー(1)」で紹介したように、「太陽と死は直視できない」という言葉があります。直視できないという「不可視性」だけでなく、太陽と死には「平等性」という大きな共通点があります。 わたしは、「死は最大の平等である」と信じています。太陽と同じく、「死」も平等です。「生」は平等ではありません。生まれつき健康な人、ハンディキャップを持つ人、裕福な人、貧しい人・・・「生」は差別に満ち満ちています。しかし、王様でも富豪でも庶民でもホームレスでも、「死」だけは平等に訪れるのです。



しかしながら、日本社会の現状はどうなっているでしょうか?
自殺、行き倒れ死、孤独死、無縁死・・・・・日本人の死に方が不平等になってきました。
「死」そのものは平等でも「死に方」が不平等なのです。なんとか、すべての日本人が平等な死を迎え、最期の儀式で心安らかに旅立っていただきたい。 それが、わたしたち親子の願いです。「隣人祭り」をはじめとした取り組みの背後には、すべてその想いがあります。
なお、今回の中村天風の名言は、『ハートフル・カンパニー』(三五館)にも登場します。


*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2013年8月30日 佐久間庸和