隣人祭りのある街


今日の「毎日新聞」朝刊に第12回目の「北九州発 ハートフル通信」が掲載されました。
今回のタイトルは、「隣人祭りのある街」です。



毎日新聞」8月23日朝刊



現在の日本社会は「無縁社会」などと呼ばれています。それを乗り越え、わたしたちが「有縁社会」を再生する最良の方策の1つは、「隣人祭り」であると思います。隣人祭りとは、地域の隣人たちが食べ物や飲み物を持ち寄って集い、食事をしながら語り合うことです。 
都会に暮らす隣人たちが年に数回、顔を合わせます。同じアパートやマンションをはじめ、同じ地域の隣人たちなど、ふだんあまり接点のない地域の人たちが、気軽に交流できる場をつくり、知り合うきっかけをつくります。また、自治会や地元の行事、集合住宅の会合などに、今まで参加しなかった人を集めたいときにも有効です。
サークル活動やボランティア活動に、同じ地域に暮らす隣人に参加してほしいとき、高齢者や子どもたち、単身者などを含め交流の場をつくるのにも最適です。隣人祭りは、今やヨーロッパを中心に世界の30カ国以上、1000万人もの人々が参加するといいます。発祥の地はフランスで、パリ十七区の助役アタナーズ・ペリファン氏が提唱者です。



きっかけは、パリのアパートで一人暮らしの女性が孤独死し、約1ヵ月後に発見されたことでした。ペリファン氏が駆けつけると、部屋には死後1ヵ月の臭気が満ち、老女の変わり果てた姿がありました。同じ階に住む住民に話を聞くと、「一度も姿を見かけたことがなかった」と答えました。大きなショックを受けたペリファン氏は「もう少し住民の間に触れ合いがあれば、悲劇は起こらなかったのではないか」と考えました。そして、NPO活動を通じて1999年に「隣人祭り」を人々に呼びかけたのです。



第1回目の隣人祭りは、悲劇の起こったアパートに住む青年が中庭でパーティーを開催したといいます。多くの住民が参加し、語り合いました。そのとき初めて知り合い自己紹介をした男女が、その後、結婚するという素敵なエピソードも生まれています。
隣人祭りが発展した背景には、孤独死の問題はもちろん、多くの人々が行きすぎた個人主義に危機感を抱いていることがあります。 2008年10月、わが社は隣人祭り北九州市で開催するお手伝をさせていただきました。その後、年々開催回数を増やしてきました。13年は、合計で約550回の隣人祭りを中心にした「隣人交流イベント」が開催される予定です。
今や、北九州市は世界に誇る「隣人都市」なのです。
あなたも、ぜひ隣人祭りに参加してみませんか?
さらには、自分でオリジナルの隣人祭りを開いてみませんか?



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2013年8月23日 佐久間庸和