世に活物たるもの、みな衆生なれば、
いずれを上下とも定めがたし
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、坂本龍馬の言葉です。龍馬は平等主義者でした。彼は、女性の職業・容貌・知能、その他もろもろに対して、いっさい差別しなかったといいます。女性をつねに1人の人間として尊重し、志を共有する同志として見なしていませんでした。だからこそ、千葉さな子も、寺田屋お登勢も、お龍も、その他にも多くいたであろう女性たちはみな、龍馬に深い愛情を注ぎ、渾身の協力を惜しまなかったのでしょう。
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龍馬自身が商家の出身で郷士という下級武士でした。つまり身分が低かったのです。それもあってか、彼は何よりも差別を嫌い、女性のみならず、あらゆる人々に等しく接しました。
「アメリカでは、馬の口取りが将軍や大名を選ぶ」という選挙の存在を知り、龍馬は人民平等思想を知ります。これに深く共感した彼は、後に土佐藩の後藤象二郎に、「アメリカでは薪割り下男と大統領と同格であるというぞ。わしは日本を、そういう国にしたいのじゃ」と語ったといいます。平等主義者の龍馬がつくった海援隊には、「長」と名のつく役職は1つもありませんでした。幕府の身分制度や階級をそのまま踏襲した新撰組とは対照的です。
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また、龍馬は、「世に活物(いきもの)たるもの、みな衆生なれば、いずれを上下とも定めがたし」との言葉を残しています。「この世の中の生きものというものは、人間も犬も虫もみな同じであり、上下などない」という意味ですが、これは幕末の当時にあって、とんでもない過激思想であったと言えます。司馬遼太郎は、この龍馬の言葉から、ルソーの『社会契約論』に出てくる「人は自由なものとして生まれた。しかもいたるところで鎖につながれている。自分が他人の主人であると思っているような者も、実はその人以上に奴隷なのだ」という有名な冒頭の言葉を思い出したと述べています。わたしは、ルソーというよりも、あらゆる生きとし生けるものの平等を説いたブッダの思想を連想してしまいます。
なお、この龍馬の名言は『龍馬とカエサル』(三五館)にも登場します。
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*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。
2013年8月15日 佐久間庸和拝