稲盛和夫(2)


会計がわからなければ真の経営者になれない




言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、現代日本を代表する経営者である稲盛和夫氏の言葉です。
企業における数値は会計という部門に集約されますが、稲盛氏は「会計がわからなければ真の経営者になれない」と喝破しました。わたしはこの言葉を知ったとき、それまで会計に関心の薄かった自分を猛烈に恥じ、会計の本を読みまくりました。


稲盛和夫の実学―経営と会計

稲盛和夫の実学―経営と会計


稲盛氏は著書『稲盛和夫実学』(日本経済新聞社)において、会計の重要性を力説しています。わたしたちを取り巻く世界は一見複雑に見えますが、本来は原理原則にもとづいたシンプルなものが投影されて複雑に映し出されているものでしかありません。これは企業経営でも同じです。会計の分野では、複雑そうに見える会社経営の実態を数字によってきわめて単純に表現することによって、その本当の姿を映し出そうとしているのです。 



稲盛氏は言います。もし、経営を飛行機の操縦にたとえるならば、会計データは経営のコックピットにある計器盤に表示される数字に相当する。
計器は経営者たる機長に、刻々と変わる機体の高度、速度、姿勢、方向を正確かつ即時に示すことができなくてはならない。そのような計器盤がなければ、今どこを飛んでいるかわからないわけだから、まともな操縦などできない、と。



ですから、会計というものは、経営の結果を後から追いかけるだけのものであってはならないのです。いかに正確な決算処理がなされたとしても、遅すぎては何の手も打てなくなります。会計データは現在の経営状態をシンプルにまたリアルタイムで伝えるものでなければ、経営者にとって何の意味もないと、当世一の「経営通」と自他ともに認める稲盛氏は喝破します。
人は誰でも、自分の健康に関する数値データには敏感です。わたしも毎朝、体重と血圧を測ることを欠かしません。しかし、経営者たる者は、それ以上に自社の健康に関する諸々の数値データに最大の関心を示さなければなりません。人間でも会社でも、病に冒されたら、それは確実に数値データに表れます。数字は絶対にウソをつかないのです。



じつは、もうすぐ、わたしは某社の監査役に就任する予定です。
その会社は、じつに7000億円を超える多額のお金を扱っています。
当然ながら、その監査役になれば大きな責任が生じることになります。
これを機会に、もう一度、会計を勉強し直してみたいと思っています。
なお、今回の稲盛和夫氏の名言は『龍馬とカエサル』(三五館)にも登場します。


龍馬とカエサル―ハートフル・リーダーシップの研究

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2013年8月6日 佐久間庸和